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ぼくはねこ
6.

いつもより早く目が覚めたシノ。
ベッドの上にある時計をみるとまだ5時30分。

辺りはまだ薄暗く、頭がぼーっとする。

カサカサと音がしてキナコがククっ、と鳴く。
ルナがキナコの為に木で作った箱が気に入った様で、いつも寝る時はそこに入る。

ぴょん、と跳ねてシノの顔の側まで来て頬ずりする。
シノには何と言っているのかは具体的にはわからないが、多分朝の挨拶をしているのだろう。

「おはよう、キナコ」

"んー"と背伸びをしてベッドから降り、靴を履く。
普段ならそのままカイのところに行くが、その前にルナを起こして誘おうと思った。

キナコがシノの上着のポケットに入る。

「お前も来るのか?」

それに答えるようにキナコの小さな耳がピョコピョコ動いた。




部屋の前まで来るといつもルナの姉から"ノックしなさい"と言われるのを思い出して小さくコンコン、と2回ドアを叩いた。

返事はない。
どうやらまだまだ起きなさそうだ。

ドアを開けて入ると薄暗くてよく見えない。
凝らして見るとルナのベッドが空なのがわかった。

(こんな朝早くにどこへ?)

少し考えた後で、多分カイの所だろうと推測したシノは急いで庭に出た。

小屋が見えて中に入ると、カイに寄り添うようにルナが寝ている。

(良かった)

安堵して側に腰を下ろす。
顔を覗きこむと、少し目が腫れている気がする。
そして僅かにルナからは絶対に香らないはずの匂いがした。

ジューンが好んで飲む、あのコーヒーの匂いが…



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