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ぼくはねこ
1.



ジューンのお屋敷に来てから早くも一週間が過ぎようとしていた。

そろそろ花嫁が決まる頃なのだがまだ誰なのかわからない状況が続いてる。
長い時は3週間くらい掛けて決める人もいるらしいので、もしかしたらそれくらいかかるのかもしれない。

長期戦でそろそろ娘たちにも疲れが出てくるくらいだが、今日のセシルは機嫌がいい。
ジューンに名前を覚えてもらったと嬉しそうに他の娘に話しているのをたまたま聞いた。

どうやらセシルは本当にジューンに恋をしているようだった。
今も部屋の中で鼻歌を歌ってる。

「♪〜♪〜」

お風呂上がりのまだ湿っている茶色の髪に櫛を通して真っ直ぐにしている。
セシルは弟のルナから見ても美しいと思う。

「僕、トイレ行って来ます」

聞こえなかったのか、聞こえているけど返事をしないだけなのかセシルは鏡から目を離さない

扉を開けてすぐ隣がトイレ
でもそこには行かずにルナはシノの部屋に向かった。





コンコン
控えめにドアをノックして中から"どーぞ"と声が聞こえた。


中に入るとシノは膝にキナコを乗せながら戯れていた。

この数日で更に仲良くなったルナとシノは毎日遊んでいる。
昨日はカイも連れて森の中にある湖に連れていってもらった。

「シノ」

ルナもすっかりシノに懐き、シノから"友達なんだから様をつけるな"と言われ、ようやくそう呼ぶのにも慣れて来た。

「夜ご飯は食べたか?」

「はい」

シノとは今まで一度も一緒のテーブルでご飯を食べた事がない。
いつも自分の分だけ別にこの部屋に持ってきてもらうらしい。

「シノはどうして僕たちと食べないんですか?」

「…嫌いだからだ。あの女たちが」

意外な言葉だった。
嫌いになるほど顔を見合わせてないはずだけど…

「うるさいし、…ルナに意地悪してるんじゃないか?」

上目遣いで聞いてきた。
シノがこうゆう仕草をする時は"僕より年下なんだ"と気づかされる。

「違うますよ。ただあの中で男、は、、僕だけだし…」

「ルナ?」

「だから皆のお手伝いしたいんです」

にっこりと微笑むルナにシノは何も言えなくなった。

前に一度ルナがキツイ言葉を言われてるのをたまたまシノに見られた。
その時は、シノがすぐに間に入り止めてやったがルナは何も言わずに悲しそうに笑ってた。

「ルナはなんで男なのに着いてきたんだ?」

「……」


(言いたくない
でも言いたい

もしかしたらシノは僕を受け入れてくれるかもしれない)


「ほ、ぼく」

ルナが話そうとしたとき、コンコンとドアを叩く音がした。





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あきゅろす。
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