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君を、暑い部屋で治療します(凛香様へ)



・神威

・学パロ

・時期が夏。

・小龍というキャラが登場しますが、ほりつばでの小狼の兄の名前です。






















暑い。
じりじり太陽が照りつける。
動き回っているうちに体が汗ばんできてしまった。
体育の時間、女子は外でバレーだった。
普通、体育館でやるのだけれど、今日は放課後保護者会があるらしく、イスが並べられているため使用することが出来なかった。
なので、天気がいいため外にネットを張ってやっているというわけだ。




私は運動が得意じゃない。
バレーで低めのボールをひろおうとすると、必ず転ぶ。
今回も案の定、私は膝を地面に擦りつけることになるのだ。
校庭だから、体育館と違って少しじゃりじゃりしている。
私は『いて!!』という叫び声をあげてしまい、ひろおうとしたボールが頭に落下してくるという醜態をみんなの前でさらすこととなった。



大丈夫?という言葉とともにみんなが私の周りに集まってくる。
膝を見ると、溢れた血液に砂粒がくっついていて、ばっちい。
とりあえず私は服のはらいながら、保健室に行くことにした。
























保健室で手当てしてもらう前にまず傷を洗おうと、校庭の隅の水道に向かった。
そこから少し離れたところでは男子が女子と同じ理由で、外でバスケをしていた。
私は流水に傷口をあてながらなんとなく、恋人の姿をその中から探した。




バスケをしている神威くんは、正直、悔しいくらいかっこよかった。
彼は運動神経がいいから、私と違ってボールに遊ばれることはないようだ。
できればそのスピードをちょっと分けてほしい。

「おっ」

神威が持っていたボールが、小龍くんにかすめ取られていた。小龍くんはバスケ部だし、やっぱり上手いなあ。
ふふ、神威くん負けず嫌いだから悔しがってるだろうなー。

私は靴を履くと、足早に保健室に向かった。




















「すいませーん、怪我しちゃいました…」

保健室は、あいにく誰もいなかった。
私はとりあえず消毒をしようと器具を探し始めた。

「主人公?」

戸棚を探っている最中、私の名前を呼ぶ声に振り向くと、神威くんが立っていた。
彼も怪我をしたらしかった。
神威くんは手首から肘の辺りまで盛大に擦り剥いていた。

「うわ〜痛そう」
「べつに、血は出ていない。」
「ちょっと待ってね、消毒どこだろ…」
「ここ。」

神威くんはあっさり消毒液が染み込まれた脱脂綿が詰まった瓶を探し当てた。

「神威くんよくわかったね」
「保健委員」
「あ、そっか」
「そこに座れ」
「それじゃ、お言葉に甘えて」

私はイスに腰掛けてじくじくしている足を差し出した。
神威くんは意外となれた様子で手当てを始めた。

「手当て上手だね。よくするの?」
「昴流がけっこう不器用だからよく怪我する」
「へえ、ちょっと意外だなあ」

神威くんの手当ては痛くなかった。
神威くんには悪いけれど、じつはちょっと乱暴にされることを覚悟していた私は少し驚いた。

「神威くん、手つき優しいね。」
「…べつに」
「ふふ、神威くんに手当てしてもらうなんて、滅多にないよね。もしまた怪我したら手当てしてくれる?」
「…怪我なんかするな」
「…うん…。ねえ、神威くんはどうして怪我したの?転んだ?」
「転んだ」
「うわーそれ見たかったなあ!」
「うるさい」

神威くんは私の手当てが終わると、ずいっと腕を私の前に突き出した。
今度は私の番ということらしい。
私は消毒をしようと、ピンセットで瓶から脱脂綿をつまみ出した。

「痛くない?ふうってしてあげよっか?ふー」
「…。」
「染みる?染みる?これ痛いよねー」
「…。」
「わーほんと痛そう。お風呂の時に絶対痛そう」
「…黙ってやれ。」
「はいはい。ねえ、こんなにおっきい絆創膏もガーゼもないよ」
「消毒だけでいい」
「平気?」

私は早く乾くよう、手でぱたぱた扇いだ。
そしたら神威くんは私の頭をいきなり片手でぐいっと押して腕に近づけた。
ああ、またふうってしろってことなのかな。






「ねえ神威くん、ちらっと見たけど、バスケしてるときかっこよかったよ」
「…。」

神威くんは少しだけ赤くなった。
照れるなーって頭撫でたら、振り払われた。

「でも小龍くんがやっぱり一番うまかったね!さすがバスケ部」
「…。」

そう言うと神威くんはちょっと面白くなさそうな顔をした。

「…あいつがいなければこっちの勝ちなのに」
「ふふ、神威くんいなくなっちゃったから、もう差がついちゃったんじゃない?」
「…おまえこそ、足引っ張ってるんじゃないのか。」
「うっ、うるさい。あ…じゃあ神威くんがちゅーしてくれたら頑張れるかも。」

冗談めかしてそんなことを言ったら、間髪いれずに唇をぶつけられた。
私は少しよろめいたけれど、神威くんは私を抱き支えてくれた。























部屋がじっとりして、熱い。
服が、汗でちょっと湿ってる。
保健室には誰もいなかったから、エアコンもつけられていない。

「暑い…ね」
「ん…」




















「…もう行かないと」
「さぼる」
「………それって、どういう?」
「…どういうって?」
「なんか…保健室でさぼるって、やらしい感じだから…」
「っ!馬鹿か」

神威くんは若干赤くなって離れた。
…冗談なのに。

「それじゃ、私戻るね。」「…。」
「バスケ頑張ってね。応援してる!」
「…ああ。」

神威くんも、一応再び体育に参加することにしたようだった。
できたらそばで応援したいけれど、私も一応バレー頑張らないと。


貼られたガーゼのわずらわしい感覚が、なんだか少しだけ私を得した気分にしてくれた。























君を、暑い部屋で治療します












(男子A)「おい神威!いつまでかかってんだよ!点差ついちまったじゃねーか」
(神威)「…悪い。」
(男子B)「悪いじゃない!俺は見たぞ!主人公がお前の少し先に保健室に入って行くのを!」
(神威)「…。」
(昴流)「…そういえば神威、いつもだったらそれくらいじゃゲーム続けてたよね…」
(神威)「…。」
(男子A)「おまえ!保健室で何をしていた!さぼっていたな!しかも主人公と!やらしいやつめ!」
(神威)「なっ…やらしくない」
(男子B)「保健室でさぼるといったらやらしいの代名詞だr」
(昴流)「神威…僕たちが頑張ってる間、何してたの…?」





その後、神威はあんな顔してやらしいやつだという噂が、一時期広まったとか広まらないとか。

















あとがき

はい、凛香様リク、神威学パロでした〜!
どうでしたでしょうか;?
バスケは私が神威にやってほしいスポーツです。
趣味に走ってすいません;。しかも夏。

小龍はドラマCDの登場人物で、本編でいえば小狼本体のことです。知らなかったらごめんなさい!

題名が思い付かなくて、まんまでごめんなさい!(笑)

それでは凛香様、これからもよろしくお願いします!



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