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続・電信文書物語



「…」
「主人公ちゃんどうしたの?」
「ん、ひまわりちゃん。今メール打とうとしてたの」
「そっか、誰に?」
「神威くん。この前おもしろいメールもらっちゃったから、こっちも同じくらいインパクトのあるメール送りたいんだ」
「そうなんだ」
「うん、何かいいネタないかな?」
「あ、一個あるよ。ちょっと携帯貸してくれるかな」



『かたむいたくんたこんたにたちはた!こたのたまえはたたおもたしたろいめえたるあたたたりがたとたう。ヒント:たぬき』



「こんなのどう?」
「…わーどっかで見たことあるネタだけど面白いかもー」

二十分後。

「うーん返ってこないなー返事」
「ちょっと分かりにくかったかな?」
「いや…結構分かりやすいと思うけれど…。まだ読んでないのかな?」

ぴらららら。

「あ、来たみたい」
「本当?解けてるかな」



『ああ』



「…短っ。これだけに二十分近くかけたのかな?」
「きっと、悩んでたんだよ」
「…ちょっと返事打ってみるね」



『神威くん、解読できたんだね!エライ^^!でもまさか昴流くんとかに相談したりしてないよね(笑)?』



「…送信と」
「神威くんってちょっとなぞなぞとか苦手そうなイメージあるから、もしかしたら二人で解いたかもしれないよ?」
「…そう…かな?でもあれだけ『た』を連発してたら…」

ぴらららら。

「わっ、今回早い」
「なんて書いてある?」



『木いて南下ない』



「変換いっぱい間違ってるね」
「…単にミスなのかな?」
「おい、おまえら」
「あ、黒鋼先生」
「その携帯、少し貸せ。あの双児の片方に送っているんだろう」
「そうですけど…何か用でもあるんですか?」
「おう」



『てめぇ、宿題やらなかっただろう。放課後残りやがれ』



「…助かった。ほら、返すぞ」
「…えっ!?ちょ、ちょっと、黒鋼先生!先生からだって書き加えておかないと…!」
「主人公ちゃんの口調とはちょっと違うから、びっくりしちゃうかもね」
「ちょっとどころか大分違うと思うんだけど…というか問題はそこじゃ…あっ」



『悪かった。怒るな。神威。僕からもごめんなさい。すごく反省して落ち込んでるから許してあげて、主人公。昴流』



「す、昴流くんまで気を使ってるよ!完全に呼び出し的なものだと思ってるよ!てかこれでさっきのクイズ絶対昴流くんに聞いたのわかっちゃったよ!」
「先生…」
「…悪かった」
「どうしよう、今からでもちゃんと事情を説明しないと…。えと、さっきは…」
「わーっ!!何してるの?」
「ひゃっ、(黒)モコナ!?」
「あっ、主人公ちゃん、メール送っちゃったみたいだよ」
「え!?まだちょっとしか打ってないのにっ!送信ボックス見てみるね…!」



『殺気波』



「なんだか微妙な技名みたいなの送っちゃったよー!『さっきはごめんね、黒鋼先生からのメールだったんだよ』って打とうとしたのにっ」
「変換しちゃってたみたいだね」
「ごめん、大事なメール中だったのか?」
「あ…大丈夫だよモコナ、すぐ訂正メールを…って黒鋼先生なんでちょっと笑ってるんですかっ!先生のせいですよっ!」
「…悪い」
「主人公ちゃん、携帯…」
「あ」



『俺はどうしたらいい』



「…困らせちゃってるよ。色々な葛藤が伝わってくるよ」
「主人公!モコナ、責任もってなんとかするよっ!」
「…信用するからね?」
「うん、まかせて!黒鋼が送ったメールだったって教えればいいんだね」



『さっきまでの、全部黒鋼先生が打ったんだよ!主人公じゃないから!本当にごめんね!』
『そうか、わかった』
『神威に用があるって言うから、携帯を貸してあげたの』
『最初に送られてきたメールも含めてか』
『うん!ぜーんぶ!』



「あ、モコナ、最初のやつは私たちが送ったメールなの」
「そうなの?」
「…最初はなんて送ったんだ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…ぷふっ」
「…なぜ笑う」
「いや…最初のメールを打ってる黒鋼先生を想像すると…っ!」
「ふふっ確かにとっても面白いね」
「えーっなんて送ったの?なんて送ったの?モコナにも教えて!」
「……俺にも教えろ」




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あきゅろす。
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