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電信文書物語



「…」
「…神威、さっきからずっと携帯見つめてるけど…連絡でも待ってるの?」
「いや…」
「?あ、メール打とうとしてたんだ?」
「…」
「主人公に?」
「ああ」
「えらいね。ちゃんと自分からも送ってあげるんだね」
「…」
「でも、それでどうしてずっと画面見つめてたの?」
「…普通こういう時、どんなことを送るのかわからない」
「んー…そっか。じゃあちょっといいかな?」



『こんにちは主人公。今宿題をしています。主人公は何をしていますか?』



「…こんな感じでどうかな?」
「悪くはないと思うが…宿題なんてしていない」
「あっ、送っちゃった」
「…」
「ごめんね…」
「別にかまわないが…」

ピピピ。

「あ、返事来たみたいだよ」
「…」



『どうしたの神威くん?こんなかしこまったメールもらったの初めてだよ^^私も宿題してるよー』



「…」
「えと…おおむね良し…かな?」
「あの、ちょっと私にも打たせてもらっていいかな?」
「あれ、さくらちゃんいたんだ?」
「うん。ごめんね、気になったから…」
「いいよ、こういうのは女の子の方がわかるかもしれないしね」
「…(携帯…)」



『えへへ^^なんとなくかしこまってみちゃったよ☆主人公も宿題してるんだ!?難しいよね〜><;!』



「…これでよしっ」
「…えっ!?さくらちゃん神威になりきらなきゃだめだよっ」
「あっそっか!?ごめんなさいっ」
「…昴流もなりきってなかった」

ピピピ。

「返ってきたよ」
「なんて書いてあるかな…?」



『…神威くん、意外と女の子みたいなメール打つんだね。今まで短文しかもらったことなかったからびっくりしたよ』



「あ…思ったより大丈夫だったみたい…よかった」
「ほら、神威、大丈夫だったからそんなに落ち込まないで」
「…」
「はいはーい。次はおれに貸してみてー」
「ファイ先生!?」
「見るに見かねちゃったからー。だめだよさくらちゃん、昴流くん。この『神威くん』の前に打たれた点々が、主人公ちゃんの本当の気持ちだよー」



『俺はどんなメールでも打てるぜ☆』
『…神威くん星の絵文字好きだね(笑)』
『お前が可愛くてしかたないぜ☆』
『……そっか、ありがとう。冗談でも嬉しいよ』



「いいかんじだよー」
「なんだか返事が帰ってくるごとに点々が増えてるような…。というかファイ先生、二回連続なんてずるいですっ!」
「そうです!僕たちにも打たせてください!」
「…俺の携帯で遊ぶな」
「あ、大丈夫だよ神威。これからちゃんと打てば…」
「モコナにも打たせてーっ!」
「わっモコちゃん。携帯打てるの?」
「モコナにまかせて!可愛いメール打つからね!」



『にゃーにゃにゃーにゃにゃっ』



「送信っ!…子猫みたいで可愛いでしょ!?」
「…」
「…」
「……んーとモコナ、これはちょっとまずいかもー」
「…」
「あ、神威くんが固まっちゃったよ!?」
「どうしよう…。あ、返ってきたよ」



『………?』



「ああ…さすがの主人公ちゃんもこれは意味不明だったかなー」
「モコナ、失敗しちゃった?」
「モコちゃんからのメールなら可愛かったんだけど…これ神威くんの携帯だから…」
「…あの…」
「あ、小狼くん!?」
「俺が打ってみてもいいかな?」
「神威、どうする?」
「…俺は…」
「もう小狼くんにまかせるしかないよねーがんばれー!」
「はい」



『主人公、さっきまでのメール、変だったら悪かった。メールってどう打ったらいいか分からなくて、周りの人に聞きながら打ったんだ』
『そうだったんだ?確かに神威くんにしてははっちゃけてたもんね^^気にしなくていいよ』



「「「わ〜!」」」
「よかったね、神威」
「……俺は一回も打てなかった」




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あきゅろす。
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