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「ありがとう、ヨルン。でも、まだこの国の神子になってくれるのかもわからないし、そんなに深くは考えてないよ」
ふふっとミーナは笑う。
ヨルンは顔を上げてはくれたけど、心配そうなままだな。
彼は、ボクに甘すぎる。心配性だし、過保護だ。
まぁ、体が弱いし、診てもらってるから余計にそうなってしまうのかもしれないけど。
それに、もしこの国の神子になってくれたとしたら、ヨルンも他人事ではなくなるんじゃないかな。
ーー自分のこと考えないと、さ。
これはボクの予想というか、もう確信に近いんだけど……。
「……ヨルンは、国王様から何か言われた?」
「…………」
ん〜、これは言われてるかな。
「…………っ……た」
「ん?」
「……考えておけと、言われました。でも、たぶんそうなったら……断れないと思います」
ーー断れない、ね。
本当は断りたいってこと、かな?
でも、それはボクが聞いてはいけないことだ。
だって彼、ヨルンはーー
「……ミーナの時とは、違います。年齢のこともあるだろうし、きっと僕の気持ちは聞いてもらえないでしょう」
ーーボクの婚約者候補の1人だったから。
そして、新しい神子の婚約者候補に新たになるのであろうことが予想される。
「きっと、僕だけではないと思います」
ーーうん、ボクもそう思うよ。
ヨルンの言葉に頷く。
もし東の国の神子になってくれたとしたら、彼にもすぐに婚約者候補が与えられるだろう。もしかしたら、客人の間にも婚約者候補をそれとは教えずに、そばにおかせるのかもしれない。
ズル賢い、大人の考えそうなことだ。
たぶん国王様の考えというよりは、宰相の誰かの提案だろう。
ボクの時も、いろいろ言われたしーー。
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