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東の国までの道中は順調そのものだった。
心配していた山越えも、魔物との遭遇が行きの時よりかなり少なく、時間もかなり短縮された。


魔物との遭遇が減少したのは、神子の存在が大きく関わっている。理由はよくわかっていないが、神子がいる所には魔物が近づかなくなるという事が昔から伝えられている。


事実、神子がいる国は魔物被害がほとんどない。


東の国もそれは同じで、神子がいなかった時は24時間体制で監視して魔物退治、時には近隣の魔物討伐などを行っていたが、2年前から魔物被害がぴたりと止んだ。


東の国とユキのいた村の間にある山に魔物が増えたのは、このことも原因の1つなのかもしれない。


ただし、近づかなくなったとはいえ必ずしも魔物が襲って来ないわけではないので、監視はやはり常に必要ではある。






こうして順調に進み、山越えをした時点で、カイルは早馬を走らせた。国に客人を連れてくる旨と、到着予定時刻を知らせる為だそうだ。


道中、ユキは馬に乗せられていた。山越えや移動に慣れていないユキの体力温存の為だ。


ユキは馬に乗るのは初めてなので、カイルと同じ馬に乗せてもらっている。力強い腕に抱き込まれるような体勢で、ちょっとだけ恥ずかしいけど、しっかりと支えてくれているので安心して乗ることができていた。


「ユキ、大丈夫か?もっと俺の方に体重かけて、寄り掛かってきていいぞ」


馬に乗るのって、大変なんだね。


内腿は擦れてヒリヒリしてくるし、常に力が入ってしまう腹筋は明日にはきっと筋肉痛だろう。


慣れると大丈夫になるのかな?


「あり、がとう……ございます」


ユキは、舌を噛みそうなので会話も最小限しか出来ない。





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