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え?
なんで?
どうして3人がそちら側にいるの?
いつも隣に、そばにいてくれていた温かい人たち。
彼らが、僕の婚約者候補?
驚きで、ユキの動きは完全に止まった。
だって、婚約者候補たちは納得したうえでって、考える時間も、断る手段も与えていたって話で――。
だとしたら、彼らは――自ら選んで、望んでここにいるということ。
「知っている者もいるが、紹介していこう」
ギルスの声だけが響く。
「カイル、ティーダ、ヨルン、アヴィル……」
アヴィルさん……
彼だけは初めて見る顔。
カイルよりは低いが、ティーダやヨルンよりは背が高い。髪の色は茶色で、軽くウェーブがかかっている。瞳も髪と同じ色だが幾分か濃いめの茶色で、垂れている目元が彼の印象を柔らかいものにしていた。
「それから、最後に―――ラビス」
え?
ラビスさん、も?
ラビスの名前を聞いて、ユキは反射的に彼を見た。
ラビスもユキを見ていた。
目が合うと、ラビスは瞳を細め事実だと伝えてくる。
「この5人をユキ殿の婚約者候補とする」
ギルスの声が自分の意識よりどこか遠くのほうに聞こえ、ユキの思考は完全に止まって真っ白になっていた。
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