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「お兄様!!」


空を眺めていたアキラは聞こえてきたその声に、そちらへと視線を向けた。


小走りで走り寄ってくる少女の姿に微笑み、飛び込んできた少女を抱きとめる。


「おかえりなさい。お兄様」


アキラの胸にすり寄りながら、少女が嬉しそうに顔をあげた。


「もう、お仕事は終わったのですか?」


「ああ。しばらく休暇も貰ったから、今度セルゲイと3人で旅行に行こう。」


そんな少女の頭をなでながら、そう言葉を紡ぐ。


その言葉を聞いた少女は、アキラから離れ驚いた様子で元から大きな目をさらに大きく見開いた。


アキラがほほ笑んでいるのを確認すると、うれしそうに笑う。


そんな少女を見て、アキラはさらに穏やかにほほ笑んだのだった。














…*…*…*…*…












あれから二人は自宅へと続く道を歩いていた。


仲よさそうに、手をつないで歩く二人の様子は微笑ましい。


しばらく歩いた後、ようやく自宅へと到着した。


エリダラーダ国でも大きいほうに入るお屋敷。


それが、二人が住んでいる場所である。


「お帰りなさいませ、イーヴリンお嬢様、アキラ坊っちゃん。」


門の奥から聞こえてきた低い声に、二人はそちらへと顔を向けた。


そこには、漆黒の髪をオールバックにした男性が立っている。


「ただいま帰りましたわ、セルゲイ。」


「ただいま。」


柔らかい表情を浮かべるアキラと、イーヴリンと呼ばれた栗色の髪の少女。


その二人を見て、セルゲイは安心したように微笑むと普段の口調に戻して口を開いた。


「長旅御苦労だったな。アキラ。」


「セルゲイも。俺が留守の間、何もなかった?」


「ああ。何もなかったぜ」


主従関係というより、年の離れた兄弟のように気軽に話し始める二人。


その二人の様子を見ながら、イーヴリンがふてくされた表情で、アキラの腕を引っ張った。




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あきゅろす。
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