入学式04 学校からもうダッシュで走り続けて、数分。 ようやく我が家があるマンションへとたどり着いた。 ちなみに、うちの部屋は最上階の角部屋や。 高級マンションだけあって、セキュリティーもしっかりしとるからここ選んだんに、なんであの人はうちの部屋にはいれたんやろ。 鍵も渡してへんちゅうのに・・・。 「ただいまー。」 「おかえり、朔夜。」 鍵を開けて部屋に入ると、我がもの顔でくつろいでいる折原臨也がおった。 相変わらず胡散臭い笑みを張り付けとる臨也さんに、ため息をついて彼の正面にあるソファーへと腰をおろす。 「どうやって、部屋に入ったん?」 「マンションの管理人さんに開けてもらったんだよ。朔夜ってば、何も言わずにでてっちゃうんだもん。」 ・・・なんで、こんないかにも怪しい男通してまうんや、おっちゃん。 人の良い管理人のおっちゃんの顔を思い出して肩を落とす。 どうせ、この男のことだ。言葉巧みに、おっちゃんを丸めこんだんやろな。 「それより、どう?高校生活は」 「まぁ、友達もできたし、それなりに楽しめるんちゃう。」 「もうできたんだ。相変わらず、はやいねぇ。」 ニヤニヤと笑みを浮かべる臨也さん。 そんな彼をジト目で睨みつけて、ソファーから立ち上がるとキッチンへと歩を進める。 「臨也さん。いつまで居る気やの?」 「今日は泊まって行こうと思ってるんだけど。 もちろん、止めてくれてるんだよね。」 「・・・好きにしてぇや。」 帰るきがなさそうな臨也さんにそう問いかけると、思った通りの返答が返ってきた。 今更、文句言うのも無理だと知っとるから、うちは冷蔵庫の中身を眺めながら、夕食はどうしようかと思考をめぐらせる。 「ねぇ、朔夜。」 「なん?」 めんどくさいから、親子丼にしとこ。 臨也さんの言葉に耳を傾けながら、冷蔵庫から卵と鶏肉をだす。 「面白そうな人がいたら、俺にも教えてね。」 「・・・・・・・」 こちらに背を向けとるから、今彼がどんな表情をしとるかわからへんけど、きっといつも通りあの胡散臭い表情をうかべとるんやろな。 1年と半年前に急に出来た養兄の背を眺めながら、うちは思わず笑みを浮かべた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |