入学式02
試しに受けてみたら見事合格。
部屋も高校の近くに借りたし、卒業までは一人暮らしをすることになっとる。
「こ、小早川瀬那です。よ、よろしくお願いします!!」
隣から聞こえてきた声に、思考を停止させて顔を向けた。
特徴的な髪形の小柄な少年。
あの髪形は一体どうなっとるんやろうかと思いながら、ジッと少年を見つめとるとバチッと目があってしもうた。
ヤバッとおもいながも笑って手を振ってみると、少年も戸惑った様子で手を振り返してくれる。
それに満足して、うちは再び窓の外へと視線をやった。
(思ったより、楽しめそうやな。)
人一人いないグラウンドを眺めながら、とりあえずこの時間が終わったら少年に声をかけてみようと思いながら、うちは満面の笑みを浮かべていた。
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ようやく今日の日程が全て終わり、帰り支度を始めている生徒たちを尻目に、うちは早速先ほどの少年に声をかけてようと席を立った。
何にも入ってへん、ぺたんこな鞄を手に取り少年の元へとむかう。
「始めまして。コバヤカワセナ君。」
下を向いとる少年にそう声をかけると、彼はビクンと肩を震わせ勢いよく顔を上げた。
「あ・・・。えっと、な、何ですか?」
「自分ら同じ年やろ。ため口で話したってぇな。」
めっちゃビクついとるわ。
と内心思いながら、笑みを浮かべる。
「は、はい・・・。いや、うん。」
「うち、折原朔夜いうねん。よろしゅうなー。」
「う、うん。よろしくね。」
そうはにかんだ少年。もとい、コバヤカワセナ君。
・・・長いな。もうセナでええやろか。うん、ええっちゅうことで。
セナは、今まで知りあった男らに比べて随分内気な性格らしい。
彼の反応が凄く新鮮に感じて、うちは思わず笑みをふかくしてしまう。
「よかったら、途中まで一緒に帰らへんか?」
「え。う、うん!!」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべたセナと並んで歩く。
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