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入学式01


「折原朔夜いいます。一年間よろしゅうお願いします。」


窓際、前から二番目の席。

そこで愛想笑いを浮かべれば、義務的な拍手が聞こえてくる。


今うちは、私立泥門高等学校の1年2組の教室におる。

理由は簡単。今日からこの高校通うことになったからや。


校長の長ったらしい話を聞き終え、教室へと戻ってきたうちらは自己紹介なるものをおこなっとる。


正直言って、聞く気なんてあらへん。

一度にこの人数の顔と名前なんか覚えられるかっちゅうの。


クラスメイト達の声をBGMに、外を眺める。

空は青く澄みわたっとって、いい天気や。


耳を澄ませば、小鳥のさえずりも聞こえてきそうやわ。


(最初は来良に行こうとおもってたんやけどな。
なんでうちは今ここにおるんやろ。)


ぽかぽかとあったかい日差しに、出てくる欠伸を噛み殺しながらそう考える。


すると、胡散臭い笑みを浮かべた男が頭に浮かんできて、思わず眉をしかめた。



「そういえばさ、朔夜。高校どうするの?」


「高校?来良行こうとおもっとるけど」


「来良ねぇ。
でもさ、朔夜は中退しちゃってるわけだし難しいとおもんだけど」


「・・・あ。」





あの後、うちは慌てて自分でも行けそうな学校を調べた。


あの人なら過去を偽造することくらい簡単にやってみせるやろうし、うちもそれくらい簡単にできる。


でも、あの人にこれ以上借りをつくりとうなかった。

なにより、高校くらい普通に過ごしてみたい。


んで、探し回った結果、泥門高校をみつけたちゅうわけや。


受験者が定員を大きく下まわっとったみたいで、全員合格させるみたいやった。





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