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朝練07



「朔夜、知ってたんだ。」


「昨日、家帰ってからたいていのことは調べたさかい。
・・・それより、はいこれ。」


「?」


クーラーボックスから、ペットボトルを取り出してそのうちの一本をセナに渡す。


ポカンとしとるセナをしり目に、うちは部長と栗田先輩のほうへと駆け寄った。


「部長に、栗田先輩。お疲れ様です。」


いいながら、セナと同じようにドリンクの入っているペットボトルを差し出した。


栗田先輩は、ありがとうといいながらそれを受け取ったが、部長はこちらを見とるだけで受け取ろうとせん。


「あそこから、容器探すの苦労しそうやったんで、家から持参してきたんですけどいけませんでしたか?」


もしかして、それが気にいらへんのやろか、と思いながらそう尋ねると。


少しの間があったが部長は無言でうちの手から、ドリンクを受け取った。


ドリンクに口をつけとる部長を眺めながら、もうひとつ渡すもんがあったと思い出してスカートのポケットからあるものを取り出す。


「部長、これも。」


青色のそれを部長の手に乗せ、セナのところへ行こうと踵を返した。


「うわ!!」


途端、部長に襟首をもたれて足を止める。


引かれた勢いで危うく首が締りかけ、一体なんやの。
と思いながら、振り返った。


「なんだ、これは」


片眉をかすかにあげ、そう尋ねてくる部長。


それを見て、そういや言ってなかったな。と口を開いた。


「恋ヶ浜キューピットのデータですわ。
一応、マネージャーやし、それくらいやらな思いまして。
時間があんまなかったんで、たいした内容やありませんけど。」


「朔夜!!速く教室行かないと、HR始まっちゃうよ!!」


「おん、今行くー!!
・・・ちゅうことで、部長。お疲れ様でした。」


すでに、制服に着替えおわっとるセナにそう返事をして部長に頭を下げる。


遠くでまっとってくれとるセナのほうに駆け寄りながら、この小さい少年のことを臨也さんに報告しようか思考をめぐらした。





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