朝練04
戸惑っていると部長が軽く説明してくれた。
「高校生で4秒8とか出したら、どこ行ってもエースだ。
高校最速は、進って奴の4秒4。ま、こいつはバケモンだな。」
バケモンねぇ。
静雄さんみたいな人なんやろうか。
バケモンっちゅう言葉に、万年バーテン服の年上の取り立て屋のことを思い出した。
いや、別にうちは静雄さんのことをバケモンやとはおもてへんで。
「いいよー。」
栗田先輩の言葉に、はっと顔をあげてストップウォッチを構えなおす。
「よーい。」
ドン!!
ビリビリと響く鼓膜にとっさに横を見ると、バズーカを構えとった。
まさか、それを打ったんか・・・この人。
うわぁ、と思いながらも栗田先輩のほうへと視線を移す。
ピッ
栗田先輩が前を通り過ぎたと同時に、ストップウォッチを止める。
「何秒?」
「6秒5ですわ。」
覗きこんできた部長にそう答えると、何かが切れたような音が聞こえてきた。
凄い顔して、歩いて行くと栗田先輩を蹴り飛ばす。
「こ・の・糞デブ!!前より遅くなってんじゃねーか、何が朝練だ!!」
「しょうがないじゃん、疲れてたんだからーッ」
どうなっとるんやろ、あれ。
バインバインという音とともに、まるで風船のように飛び上がる栗田先輩。
あの巨体を持ち上げるとか、部長の脚力どうなっとんねん。
「えーい、見てやがれ!」
やっぱ、この人色々とありえへんわ。
つい先ほどまで横にいたはずんの部長がいつの間にか、スタート地点に立っていた。
先ほどと同じように、目の前に来たところでストップウォッチを止める。
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