入部05 HIRUMA SIDE 今日の俺は凄く期限が良かった。 というのも、昨日学校帰りに最速のRBを見つけたからである。 RBが入ってくれれば、まともな試合ができる。 クリスマスボウルへの道が大きく開いたような気がした。 すでにつれてきて置いたRB候補を脅して入部届けにサインさせる。 本人は、主務がどうだ言っていたがそんなん関係ない。 というか、いかにも要領が悪そうな糞チビに主務が務まるとも思えねぇ。 嫌がる糞チビに無理やりユニフォームを着せて、試合中はアイシールド21と名乗るよう言っていると、部室の扉をノックする音が聞こえてきた。 その音に反応した糞デブが、扉を開く。 糞デブに隠れて、姿は全く見えねぇが恐らく1年の誰かだろう。 ある意味俺の根城であるここに、2.3年がくるはずねぇ。 「も、もしかして入部希望者!?」 ドシャ 感極まった糞デブの声に続いて、何かが倒れる音が聞こえてくる。 大方、糞デブがそいつを押し倒したんだろうとな思って眺めていると、入口から女が1人顔を出した。 艶のある黒髪を揺らしながら、一見すると大和撫子って感じのその女の口から飛び出てきたのは、見た目に不釣り合いな関西弁。 「主務と違がったんか?セナ」 明らかに、俺の隣に立つ糞チビへと向けられたその問いに、銃を向ける。 今はまだ、こいつの正体をバラすわけにはいかねぇ。 「誰だ、てめぇ。」 「うち、折原朔夜いいます。一応入部希望者ですわ。」 笑みを浮かべて言われた言葉に、思わず眉が動いた。 普通の女が、銃突き付けられて平然としていられる訳がねぇ。 「入部希望者?てめぇ、アメフトのルールは知ってんのか?」 とりあえず、内心疑問符だらけの俺は問いかけたのはアメフトについてだった。 どうせマネージャーをとるなら、ルールを知ってるやつのほうが何倍もいい。 「知っとりますよ。小学校の時はクラブチームに入っとりましたし。 中学ときはマネージャーしとりましたから」 「ほぉ」 返ってきたのは、予想以上の内容だった。 思わず、笑みが浮かぶ。 経験者。 それなら、存分に使い道がある。 糞チビと話し始めた女を横目に、愛用のパソコンを起動させてデータを探り始めたのだった。 HIRUMA SIDE END [*前へ] [戻る] |