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エリート狂想曲


「なぁ、ジーニアスって本当はこの学校に来るはずだったんだろ?」

一応、エリートの集まる学校……らしい。

「え、うん……。一応、推薦されてたんだけど……」

そこへ生徒が信じられないものを見る顔をして言った。

「君が?こんな小さな子供が長難関であるこのパルマコスタ学問所に推薦で?」

ああ、嫉妬か。

「あはははは、どうせはったりだよ。ボクなんかここの入学試験に六回目の挑戦で合格したんだから」

それは自慢ではない。

「何!バカにするなよ。ジーニアスは九九だって言えるんだからな」

「な、何レベルの低いこといってるんだよ!」

同じこと言わないよね、とでも言いたげな視線がジーニアスから向けられる。

「わたし九九くらい普通に言えるけど……」

「まあ、ロイドにとっては……高レベルだけれど……」

それに否定はない。

ロイドは勉強に興味を持たないため、成績が悪い。

リセリアもいい方ではなかったが……今はどうだろうか。

一応これでも、医学校の学生だ。

「類は友を呼ぶって言うだろ?このチビもきっとその程度ってことさ」

「な……なんだと!おまえらなんかジーニアスの足元にもおよばねぇぞ!」

しかし言われた本人ではなくロイドがヒートアップしている。

「……面白い。じゃあボクと勝負するか?」

「するよな?」

一応疑問だが、ほぼ強制だ。

「もー、自分のことじゃないと思って!けど、受けて立つよ」

結局ジーニアスも勝負を受けた。

「言っておくが、ボクはこの学問所の首席だ。後で泣きを見てもしらないぞ」

「試験問題を用意しておく。準備ができたら二階の一番奥の教室にこい」

そう言って二人は去っていく。

が、

「……最近、勉強してなかったからなぁ」

など自信なさげだ。

「そうね。少し特訓しましょう」

「空き教室を借りるといい」

そんなわけで、リフィルの特別授業が始まった。

……。

内容は、イル・ファンのタリム医学校で受けていた授業よりもはるかに簡単なものだった。






「よし、勝負だ」

「負けないよ」

なんだかんだで楽しそうだ。

「話は聞きましたよ。公正を期すために問題は私が用意しました。さあ、席につきなさい」

ここの先生は、暇なのだろうか……。

「ついでだからみんなも試験を受けてご覧なさい」

「ええ〜、俺もかよ?」

「……まあ……もののためしに、ね」

リフィルはもう、ロイドの悲惨な点数を理解してるのか……。

そして試験。

ひとつ、つっこみたい。

なぜリフィルとクラトスが試験を受けているのだろうか……?

それに関してだけ、教えて欲しい。

しかしテストだが……。

(……簡単……)

昔に受けた時は半分くらいしかわからなかったが、今なら解けている。

勉強、やはり楽しい。

などと解いていたが制限時間は終了。

回収されて採点も終わり。

「では結果を発表しよう。まず最下位は……ロイド・アーヴングくん。25点」

……。

これはひどい。

ひどいが、

「うわ、25点だってよ」

「今までで最高得点だね!おめでとう、ロイド!」

そう、いつもよりもいい点数だ。

「へへ……」

その低さに、ジーニアスと少年は呆れるだけだ。

「以下、次の通りの順位だ。コレット・ブルーネルくん210点」

だが、誰も100点満点とは言っていない。

「……あれ?百点満点じゃなかったのか?」

「……400点満点だよ」

「……」

まあ、問題も多かった。

ロイドにこの4倍の点を要求するのは……ムリだ。

「クラトス・アウリオンくん380点」

クラトスは結構勉強は得意なようだ。

「リフィル・セイジくん400点」

「……先生が満点なのはあたりまえだろ」

「リセリア・アーヴィングくん400点」

「……はぁ!?」

ロイドもさすがに声を上げ、

「リセリアが満点!?」

ジーニアスも驚きで席を立ちあがる。

「……」

なんだか、納得がいかない。

リフィルも一体どうしたという驚きの表情だ。

「何をそんなに驚く?」

「だ、だって……リセリアって言ったらロイドよりはいいけどそんなに頭いいほうじゃなかったし……」

「……失礼だなぁ……確かに前はよくなかったけど勉強は嫌いじゃないよ」

世界再生とか、そういう学問以外のことはどうでもいいが。

「さて肝心のジーニアスくんとマイティだがそれぞれの点数を発表しよう。マイティ・ワシントンくん398点。ジーニアス・セイジくん398点」

「同点……」

「そ……そんな……」

「くそ、惜しかったぜ」

「……仕方ない。キミを認めるよ。バカにして……悪かった」

「ううん、あなたこそ、すごいよ。ありがとう」

そしてきっと、友情が芽生える。

「それにしてもジーニアスくんは優秀ですな」

「ええ。年齢のわりにとてもよくできた子です」

「さすが我が校の推薦を受けただけのことはある。どうですか。ここに残られて共に学んでは……」

「そうだ、そうしろよ。きっとキミはこの学問所始まって以来の天才になるぞ」

先生も主席の彼も薦める。

「……す、すげーな!ジーニアス!……残っても……いいんだぜ。いや、残った方が……」

そう言うが、声は残念そうだ。

しかしジーニアスは迷うそぶりすら見せずに言った。

「ううん。ボク。みんなについていく。世界が平和になったら改めて勉強するよ」

即答、ということはジーニアスの中で初めからここに入る選択はなかったのだろう。

「いいのか……?」

「もちろん。だって言っただろ。ずっとロイドについていくって」

「……ああ!」

「では、この入学許可証を与えよう。旅が終わったらいつでも学問所へ来なさい」

「……はい!」

そう、ジーニアスに入学許可証が渡された。

「それからリセリアくん。君もここで学ぶ気はないかな?」

「……は?」

まさかの声だ。

「君も非常に優秀なようだね。どうだね?」

確かにレベルは高いようだが……こういう学問は好みではない。

多分、この度が終わったら向こうへ戻る。

学校にも、戻ることになる。

元々興味もない。

返事は、決まっている。

「いえ、結構です」

「えー!なんでだよリセリア!」

ジーニアスが、不満の声をあげたが理由は言わず。

「そうか。その気になったらいつでも来なさい」

と、同じく入学許可証。

正直いらないが……もらっておいた。

(わたしは……やっぱり医学校がいいな)

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