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ドロッセルに言われた場所へと向かうと、そこにはドロッセルとローエンが待っていた。

よほど、ドロッセルは楽しみだったのだろうか。

手を振って出迎えてくれる。

「お待ちしておりましたわ」

奥が、彼女の家だろうか。

「すごいお屋敷……」

予想していたよりも、身分の高い女性、のようだ。

「おっきい……」

もしやまずいところへ招待されたのでは、と不安になる。

と、そこへ。

屋敷から出てくる姿。

兵士だ。

「ラ・シュガル兵!」

ここはラ・シュガルなのだから確かにいてもおかしくはないが……。

ミラは剣を抜こうとする。

が、

「待て」

アルヴィンがそれを止めた。

次いで出てきたのは初老の男性と、その付き人だろうか。

屋敷の前に止めていた馬車に乗り、兵と共に去っていく。

「今のは……」

「……お客様はお帰りになりましたか」

安心させるように、ドロッセルは笑った。

そして一行を屋敷へと、招き入れる。

反対に屋敷から細見の男性が歩いてきた。

ドロッセルと似ている。

「やぁ、お帰り。お友達かい?」

嬉しそうにドロッセルは駆け寄る。

「お兄様!紹介します。……あ、まだみんなの名前を聞いてなかった」

と、今ここでやっと気が付いた。

「ははは、妹がお世話になったようですね。ドロッセルの兄、クレイン・K・シャールです」

「クレイン様は、カラハ・シャールを治める領主様です」

「この街の領主……!?」

まさか、そんなんい偉い人だったとは。

その若さで、この街を統治しているなど簡単ではない。

それでもこの街の雰囲気がいいのは、きっと彼のおかげなのだろう。

「立ち話もなんです。さぁ、どうぞ屋敷の中へ」

招かれるまま、屋敷へと入ることになった。

「……」

「大丈夫?宿で休む?」

リセリア一人なら宿も取れるだろう。

ジュードは心配して声をかける。

けれども、

「ん?大丈夫だよ」

いつもの返事が返って来る。

「そこのお嬢さんは、どこか悪いんですか?」

「いえ、大丈夫ですクレインさん。ありがとうございます」

心配させないよう、また知られないよう。

リセリアはすぐさまクレインへと答えた。

不調だと思えない笑顔で、声色で。











「なるほど、また無駄遣いするところをみなさんが助けてくれたんだね?」

ドロッセルの買い物は割と日常茶飯事なのだろう。

「無駄遣いなんて!協力して買い物をしたのよね」

少しムキになっているのがその証拠じゃないだろうか。

「ねー」

「ははは……」

ティポが答えた。

せっかくなのでと、出された紅茶にリセリアは口を付ける。

「ふわ……」

変な声を上げるリセリア。

「お口にあいませんでしたか?」

「あ、違います。おいしくて……」

ほう、と息を吐く。

「それはよかったです」

クレインがリセリアを見て嬉しそうに笑う。

つられて、リセリアも。

「……」

クレインとリセリアの様子に、少しイラっとするジュード。

とそこへ、ローエンが入ってきてクレインに耳打ちする。

「……わかった。みなさんのお相手を頼むよ」

「かしこまりました」

「申しわけありませんが、僕はこれで」

クレインは仕事が入ったのか、その場を後にした。

「俺も、ちょっと」

「アルヴィン?」

「生理現象。一緒に行くかい?」

ウィンクまでつけたアルヴィンに、ジュードは無言。

そうして彼もまた出ていった。

「ねぇねぇ、みんな旅の途中なんでしょう?旅のお話を聞かせて」

ドロッセルはどうやら、エリーゼが気になるようだ。

「あの……わたし……」

「私、この街から離れたことがなくて……だから、遠い場所のお話を知りたいの」

「わたしも……外に出たことなかったです。でも……」

「ジュード君たちが、エリーを連れ出してくれたんだー。海と森を通ってねー、波やキノコがすごかったー」

「エリーは海を渡ったんだ?いいなぁ。私、まだ海を見たことないの」

「海には気をつけろ。岩に化けるタコがいるからな」

ミラも話に混ざる。

「岩に化けるタコさん!?」

「あの、貝や魚も……います」

「あ、貝殻で作ったキレイなアクセサリなら、広場のお店で見たわ」

「キレイなアクセサリ……」

「興味あるの?だったら今度プレゼントするわね。お友達の証よ」

楽しそうに、三人で話している。

「お茶お代わりはいかがですか?」

空になったカップを見て、ローエンが言った。

「あ、すみません。いただきます」

すぐに暖かい紅茶が注がれる。

「……エリー、嬉しそうだね」

そういうリセリアも嬉しそうで。

「うん、そうだね」

ジュードと二人で、見守っていた。

ただ、時折ティポが呆れていいのか怒っていいのか。

そんなことを言うのだが。

(……おいしいお茶)

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あきゅろす。
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