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不満げな顔を隠しもせず、引っ張られるように街の出入り口のアルヴィンと合流する。

「んじゃ、行くとしますか。リセリアは……戦えないんだな」

「うん。でも回復術は僕よりずっとすごいんだ。だからそっち専門」

それでも不満そうなのは、アルヴィンにも理由はわからなかった。

「ミラ、確かここから北って言ってたよね?」

「どれぐらいかかるんだ?」

「シルフの力で飛んだのなら半日もかからない距離だろう」

つまり人間の足でどれくらいかはわからない、ということだろう。

「基準がわからないって。途中に休めるところが、あるといいんだが」

「地図だと村があるみたいだったし、大丈夫じゃないかな」

「いずれにせよ、ここにいても始まらない。行くしかないだろう」

「はいはい」

一番男前のミラの言葉に少しばかり不安を覚えながらもアルヴィンは言った。

「疲れたらちゃんと言ってね。休憩取ってもらうから」

「だから大丈夫だって」

へたしたらこの中で一番過酷な旅にリセリアが馴れてるかもしれないというのに。

心配性のジュードを少しだけ鬱陶しく思いながら。

「そうだぞ。無理して倒れるくらいなら早く言えよ」

アルヴィンまで乗ってきた。














「剣の修行したいのはわかるけど、あんまり考えなしに敵に突っ込むのやめてミラちゃん!」

これで何度目の戦闘だろうか。

ミラの危なっかしい剣術に、護身術程度のジュードの格闘。

アルヴィンは慣れているようだが、まともに戦えるのがアルヴィンだけでは……。

「もう……あんまり格闘は得意じゃないから期待しないでね」

もういい加減に我慢の限界だ。

無駄な怪我を作らせてしまってはジュードの両親に申し訳ない。

「リセリア!危ないよ!」

剣にいまだ振り回されているミラの手を引き、魔物から離す。

そして、

「三散華!」

大したダメージにはならないだろうが、とりあえず魔物と戦う。

「素手痛い。……飛燕連脚!」

素手がダメなら足だ、と魔物を蹴り飛ばす。

やはり、力がない分ほとんど効いていない。

格闘などやったこともないから仕方がない、か。

「ジュード君はまず敵をしっかり見る!」

心配をしすぎて他に目が行きすぎて危ない時が多々見られた。

「は、はい!」

「もう……さっきの海停で武器買えてたら……」

今、文句を言っても仕方ない。

「アルヴィン君……って呼んでもいいかな?」

「ああ」

「術で片づけるから時間稼ぎお願いね」

そう言って少し後ろに下がる。

お願いした通り、アルヴィンはリセリアに魔物を近づけないように戦ってくれている。

かつ、ミラとジュードの事も気にしてくれているようだ。

経験者はやはり頼りになる。

「邪悪なる魂魄、光の禊にて滅さん。グランシャリオ!」

まず、ミラとジュードが戦っていた二匹。

なんだかんだでかなりのダメージは与えていたようで倒れた。

「穢れなき汝が清浄を彼の者へ与えん。スプラッシュ!」

そして、アルヴィンが相手にしていた魔物も片づけた。

「……次の村に着いたら武器買うからね……?」

じっとりと、もうやめてくれという視線。

「おたく、戦えたの?」

「だから武器買っていいって聞いたじゃんか……」

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あきゅろす。
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