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だって僕は、A


キーンコーン、カーンコ

「みぃゆっきちゃん!」

チャイムがなり終わる前に、ドンと体当たりしてきたのは最近纏わり付いてくるチャラ男だ。
背中に体重をかけてくるチャラ男にため息をこぼす。

「香川、こうゆうのやめてって言ったじゃん」

呆れた声を出すと、香川はさらに体重を掛けてきた。
集まる視線に居心地が悪くなる。
なぁ香川、お前の行動で、僕がどれだけの妬みや恨みを買っているか、ちゃんとわかってるか?
お前のその行動に、僕がどれだけ自分の気持ち抑えるのに必死になってるか、知ってるか?

「ねぇ、みゆきちゃん、」

背中から聞こえてくる香川の真面目な声にどき、とした。

「な、なに?」
「…いっしょに、かえろ」

至極真面目な声でそう言ったそいつに一瞬思考が追いつかなかった。

一緒に帰ろう…下校に付き合え、と。
下校時間まで女子にあの目を向けられろ、と。

想像しただけでうんざりしてきた…

だけどさ、僕が断れるわけないじゃん?
「…いいよ」

背中越しに伝わってきた微かな震えはたぶん、僕自身の震えだったんだ。
きっとそうだ。



いつもより全然口数が減ったチャラ男と、沈黙のまま肩を並べて歩く。
やっぱり待ち行く人の、主に女性の視線はチャラ男に向けられていたけど、
あまりにも話さない香川に僕はそれどころではなかった。

「…」
「…みゆきちゃん、」
「んー」
「…」
「…」
「…ごめん、なんでもない」

の、繰り返し。
どうしたの?
大丈夫?
そう聞くことさえできない僕はただ、香川の口から言葉が出るのを待つ。

「あの、さぁ」
「なに?」

いつの間にか斜め後ろにいた香川を振り向く。
足を止めた香川は何かを睨むように下を向いていた。

少しの沈黙が流れる。

「みゆっ、…違う、ちがうちがう」

勢い良く言いかけた言葉を止めて、小さく何かをつぶやきながら頭をブンブンと振っている。
緊張が移ったのか、無意識に握っていた手のひらは汗でびっしょりになっていた。
ドキン、ドキン、と心臓が大きく脈を打つ…

「み、三幸ちゃ、くん…!」

顔を上げて、名前を呼ばれる。
何か決意をしたような、すっきりしたような真面目な顔。
自然と顔が強張るのがわかった。




「…すきです…っ」



「…」




え?




まって、意味わからない

なに……?



「……………みゆきちゃん?」





恐る恐るといった声にも、わけがわからなくて、反応できない
だって、わからない

だって、

「男が、男をすき、なんて、」
「…おかしいよね」

そうだ、おかしいことなんだろ…?
普通じゃないんだろ…?

「やっぱり、気持ち悪いかなぁ?」

泣きそうな声にハッとした。
目の前のチャラ男は口元に笑顔を浮かべたまま、泣きそうに顔を歪めた。

「おかしい、ことなんだろ…?だから、だから僕は、」

ずっと自分のきもちを抑えてきたんだよ?

「…どういう、こと?」
「…おかしいんだってこと。」

「お前も、僕も。」

そう言うと、すこし何かを考えてから、香川はパッと顔を綻ばせた。

「おれ、喜んでいいんだよね?」

少しだけ不安そうな顔の香川を安心させるために、笑ってみせた。
安心していいよ、
だって、

だって僕も、お前がすきだから。



end.

くっつきました。
根暗がネガティブじゃなくなって
少し男前になってしまいましたね
まぁ、ヘタレチャラ男でも男前根暗でも
幸せになってくれればそれで、いいかな…。

本当はチャラ男が嫉妬して下の名前で呼ぶ、
というイベント?も書きたかった…


根暗:三幸 孝幸(ミコウ タカユキ)
真性のホモ。結構流されやすいけど一度好きになると結構一途。恋にはネガティブ?

チャラ男:香川 結一郎(カガワ ユイイチロウ)
恐らくバイ。男すきになったのは孝幸が初めて。名前がコンプレックス。

無理やり感否めませんがここまで読んでいただき、ありがとうございました。



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あきゅろす。
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