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だって僕は


僕は少し、ひととは違う

他のひとのいう普通じゃない

だって僕は、



*

自分の性癖というものに気がついたのは小学四年の時だった
「すき」という感情を抱いた相手は、僕と同じ、男だった

「男が男を好きになるなんておかしい!」
中学二年の時のクラスメートに言われて
自分がおかしいんだと、知った。

僕は普通じゃないんだ、
僕は、おかしいんだ

僕は、ひとを好きになってはいけない

そうやって自分を閉じ込めるようになって、二年が経った。
僕は今、普通の高校で普通の生徒として生活している。
元からあまり目立たない容姿のため、特別目立つことも浮くこともなく、それこそ平穏に、過ごしていた。

それなのに、最近そんな平穏を壊そうとする輩がいる。

「みっゆきちゃーん!おはよっ」

それがこの男、香川結一郎だ。
綺麗に染め上げられた茶髪に、ジャラジャラと飾り付けられたアクセリー
それからこの男特有の爽やかな匂い。
この男が近づくたびに香るそれは、香水でもなんでもなくて、体臭らしい。
体臭がこんな爽やかとか、聞いたことないっつーの!

「無視しないでよ、みゆきちゃぁん」

香川が纏わり付くようになったのは本当に最近のことだ。
気づいたらこいつは僕のそばにいる。
そもそも、

「僕はみゆきじゃない」

その呼び方はやめて…

三幸とかいて、みこう。三幸孝幸。それが僕の名前だ。
めっちゃ幸せそうな名前なのに、僕はいま、不幸だ。
ものすごく、不幸だ。

「えーいいじゃん、みゆき!かわいいよ?」
「…かわいさ、求めてないし」

なるべく小さな声を出す。
こいつ、香川結一郎はチャラいだけじゃない。
何を隠そう、イケメンなんだ。
イケメンすぎてクラスの女子ほとんどがこっちに注目を向けるくらいだ。
そんな香川が地味な僕に話しかけてるなんて、それだけで女子の恨みを買うというのに…

「そっかぁ、みゆきちゃんはそのまんまでも可愛いもんねぇ」

…香川はなぜか僕をかわいいという。
どれだけの可愛い女子に言い寄られても、男子内で誰が可愛いかという話になっても、
決して特定の誰かを可愛いと言わない香川が、だ。

「………それ、やめて」
「えー、なんでぇー」
「…いやだから。」
女子に目をつけられるのも、
無駄な期待をしてしまうのも。

そして、一番の不幸は、そんな男に恋愛感情をいだいてしまった、という事実だ。


「ほんと、かわいくないし」

それに、香川は僕をそういう目で見ているわけじゃない。
ちゃんとわかっていたのに、
やっぱりカッコいいやつにかわいいかわいい言われたらさぁ、
もしかしてこいつ、って思っちゃうだろ?
段々と言われてる方も気になってきちゃうだろ?
もう、正に策略にハマった、って感じ。


はぁー。

チャイムが鳴ったのと同時に去って行った香川の後ろ姿にチラリと目を向けてから、大きくため息をついた。

不幸だ……



end…?

チャラ男←ネガティブ根暗

この2人くっつけたいんだけど
面倒くさい匂いがしてます・・・

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