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兄さんに

俺は今、手の届かない所におります故うんたら

とメールを打った。
早い返事、再度某、暴走曲が流れ始めようとしたが間一髪で俺は止めた。
いやだって、ここ、廊下。
響かれたら俺が恥ずかしくて死んじゃう!
それにあの人の歌は俺だけが知っていれば、それで良いんだ!!
気持ち悪い独占欲を燃えさせてからメールを開く。

『俺には、何も言ってくれないんだな…、お前はいつもそうだよ。俺には頼ってくれない、俺にだけは笑って、くれない。』

うほっ、いい台詞!!
これは保護しておこう。そうしよう。
それからスクロールすると、兄さんからのちゃんとした返事があった。
『住所だけ教えてくれれば送るよ、俺ごと』
あぁああぁぁあああぁぁあ!!!!!
何で、兄さんはこうやって的確に俺のツボに嵌めてくるのだろうか?
俺は兄さんのメールを読むたび悶えてばかりだよ……

俺は上がってきたテンションに任せて叫びたくなった。
あああああああああああああああああああああ
って、叫んでも、いいですか?
あ、ダメですか。そうですか。それは失礼いたしました。


住所は学生証に書いてあるはずだ。
俺は学生証を取り出してそれをカメラにおさめた。
ピコリン♪
軽快な音が鳴って俺の写真付き学生証が綺麗に収まった。俺はもしかしたら、カメラの才能があるかも知れない!
なんて、ははは!!
その写真を添付して、貴方の愛を待ってますと送った。


それから兄さんからの返事が来ることはなかった。

兄さんはなんというか、引き際を弁えていると言うかなんと言うか…
カッコいいぜ畜生!






(……本気で行ってやろうかな)
兄さんの本音が届くことはなかった。

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あきゅろす。
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