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side:?
………誰でしょうか、見たことのない後ろ姿の人が両手を縛り、
ズボンを下ろして、廊下の真ん中に立っています。

………自分で解説していてはっきり言わずともどう見ても
変質者、
変態、
ドM野郎、……露出狂?
僕以外人はいませんが。
まあ、違うとしてもまともには見えないですね。

「……、………。………!!……」


しかもなんか言い始めましたよ、あの人。
自分で気づいてないのかな……?
いや、それよりこんな所で何をしているのか、そこ重要ですよね。


あ、こっち振り向いた。


やっぱりこの距離からじゃ顔がはっきりしませんね。
一応この学園の生徒の顔は覚えたつもりだったのですが………。
あぁ、噂になっていた編入生、とか?
でもなぜ生徒会と風紀委員専用の階に、

「う、うっうわああああああああああああ!!!!!!!!」

いるんですか。
って、なんかこっち走って、
…………近づくにつれはっきりと分かってくる顔の形に微かに唾を飲んだ。


……本当になぜ、
こんな所に、






貴方がいるんですか。






ずっとずっと探し続けていた貴方が……。



叫び、走り出したその人の髪や瞳の色が変わってるけど、どう見ても間違えるはずがない。





あの日、貴方がいきなり消えてから、ずっと探していたのだから。
「探すな」と書いてあった置き手紙。
貴方への初めての反抗なのですよ?
貴方がいなければ何もできないダメな人たちでしたから、
貴方がいないと生きていけないような人たちだったんですから。


だけど貴方は戻ってきてくれませんでした。


だから、僕は変わる努力をしてきたんです。
大人たちにあんなに馬鹿にされていた屑集団は貴方のために成り上がってきました。
もう、貴方がいなくても生きていけるように。
けれどそれは、貴方を諦めたわけではなく、




貴方にも認めてもらえるようになるため、

なんです。




だからもう、見つかってしまったと、諦めてください――




「……廊下を走ってはいけませんよ。」
「あああああああってえ!?あ!はい!!!」




――例え、貴方が僕らのことを忘れていようとも。
お願いですから、勝手に消えないでください、







夏姫。





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