贈する想いは 2.【7777リク】 ベッドに寝転がり、天井を見るとも無く見詰めながら、考えるのはアレンの事。 自分に出来る事で、彼奴が喜びそうな事は…、と、考え、食べ物しか浮かばない自分を呪う。 何時もやんわりと微笑んで、自分の我儘を受け止めてくれて、言わずとも解ってくれる。 俺が何を考えて、何を望み、今求めている物を、答えを、笑みと共に渡してくれる。 『仕方の無い人ですね』と、言いながらも嬉しそうに、綺麗に笑いながら包み込む優しい恋人。 自分の方が歳上だが、考えてみれば、何時も頷いて了承するのは奴で命令するのは俺。 はたと気付く、もしかして物凄く、自分は彼を困らせていたのでは無いかと。 無理難題ばかりの負担を強いて、彼が何も言わない事に甘え過ぎていたのでは無いかと。 「……バ神田だな、本当に」 でも、これで決まった、彼奴を喜ばせる事が出来るで有ろう事が、食べ物以外に。 「早い方が良いな」 そう小さく呟くと、身軽に寝台から体を起こし、部屋を出て行った。 ********** 「ユウ?」 「良いな?」 「あの、」 「解ったのか?」 「……はぃ」 突然現れたかと思えば手首を掴まれ、付き従うリンクを蹴り飛ばしての鮮やかな疾走。 何か言う暇も無く、日夜監視する監査官から逃亡し、一つの部屋へと押し込まれての逃げ切り。 何の説明も無い逃亡と、何の説明も無く言い渡された、神田からの短い言葉に困惑をした。 「ね、質問しても?」 「何だ」 「どうして突然に?」 「別に」 「嘘。なぁに?どうしたの?」 「どうもしねぇよ。別に良いだろぅが」 ふぅ、と、溜め息を一つ溢すアレンに、嫌だったのか?と、聴く事等はせずに。 既に決定事項で覆らぬと、その態度からはありありと伝えており、アレンは言葉を飲んだ。 実行完遂するまでは、神田は納得しないだろうし、此処まで強引なのは実は珍しい。 何時もは強行な中にも、アレンの意見や意思を、織り混ぜて尊重してくれるのだから。 「良いな?次の休み前日の夜だ。上手くやれよ」 「解りました。善処します」 「善処じゃ無ぇ。監査官は必ず巻いて来い」 「あぁ見えてリンクは武闘派だし、勘も……。解りました」 「お前がやらねぇなら、俺が沈めに行くからな」 「……。一人で大丈夫です」 神田の視線と口調に剣呑な部分を見出だし、アレンは素直に頷いて約束をしたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |