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連綿たる経常
再びの約束。【47.の続編的なモノ】

手を繋いで。

冬から春へ、そして初夏へと移り変わる季節に。

陽が長くなり、暑さが滲む頃。

太陽と月が入れ替わる時間帯に。

ゆっくりと丘陵を上がり、目指すはその頂点。

繁る木の切れ目から覗く、その束の間のランデブーを。

強い光が柔らかな光と手を繋ぎ離すその瞬間。

その場に立ち合い見送る為に。

絡める指先や掌に汗が生まれる。

気温の暑さに、動き生じる熱が。

でも、繋いだ手は離さない。

別れるしかない彼等には悪いが。

時に追われる身であるのは同じだから。

きゅ、と、滑らないように力を込めて。







はぁ、と、肺に溜まる大気を吐き出して。

額に、うすら、と、浮かぶ汗を拭う。


「……そろそろですね、ユウ」
「あぁ、間に合ったな」


沈み込む太陽に夕闇が混じり始める。

朱い空から青みを帯びる空へ。

月がゆるゆると出(イ)で始める番となる。


「続けてスーパームーンが拝めるとはな。……流石にフルとはいかねぇが」
「よく知ってましたね。今日がその日だなんて」
「お前がまた見ようと言ったんだろぅが」
「そうですけど、」
「何だよ」
「まさか続けて見れるなんて……」
「嫌なのかよ」
「違います。珍しい現象だから、数年は空くのかと……」
「それはそれでまた見れば良いじゃねぇか」
「本当?」
「未来への約束がねぇと、俺が側に居ないとでも?」
「……」
「嫌がられても離さねぇからな。覚悟しとけ」


月が顔を見せ始め、何時もより大きな姿で。

黄色く、丸く、ゆっくりと上へ上へ。

暗闇に映える包み込むようなやわらかな光。

照らされて、浮かび上がる黒い影。

そっと重なり、暫し離れずに。


「……誓えよ」
「え?」
「また俺と月を見ると。スーパームーンをな」
「ユウ、……うん!」


また影は一つとなり、月に見詰められる。

太陽と離れた月に、羨ましく思われながら。

**********

去年、19年ぶりのスーパームーンと言う事で、これは!と、3月19日にもネタにしたのですが。
まさかの今年もスーパームーン!2年連続とは(@ ̄□ ̄@;)!!
14%大きく、30%明るく見えるとの事ですよ。
因に、日本では5日の12時34分が最接近。
昼間は見えないので、時間的に一番近い、月の出設定で書いてあったりします:-)


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あきゅろす。
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