其々の砌にて
紫
顔を寄せながら肘をついた手でシャツを捲くり、胸を直接摘んで捩る。
「んぅ!…っ、ん」
驚いて目を閉じた隙に噛んだ手と唇にキスをすると、唇を触れさせたままに告げる。
「我慢、しなくても良くね?」
唇に下を這わせ、胸を触り、下を扱きながら、初めてであろう感覚を植え付けて行く。
自分以外が触れる恐怖が、自分以外が触れる気持ち好さに気付くように。
きゅう、と、胸と下に強い刺激を与えては優しく甘やかすと、どちらも良い反応を返した。
「もうそろそろ限界、か?」
顔を見ながら問えば、息を乱し、より頬を染めている。
だが、快楽に酔っては居るが、まだ、完全には嵌まっては無いその目付。
それでこそ楽しい、自らが常に強請る様になれば飽きてしまうのだから。
それは今までの経験で、これからも変わるとは思えない自分の悪い癖。
「今日はイかせるだけにしてやるよ」
にっこり、と、見せた事の無い笑みを贈り、優しく額にキスを一つ。
「まだまだ楽しめそうだ」
「ぁう、…か、…ん、だっ、ぁあ」
驚きを含む視線を見詰め返すと、足の間に割って入り床に膝をつく。
そのままの一連の動作として、立ち上がるモノに顔を近付けるとそこにもキスを贈る。
「や!なっ…だ、めぇっ…んぁああっ」
根元迄を一気に含むと舌で支え、前後に頭を動かして筋を擦(サス)り嘗める。
サイズに合わせた唇でも、柔らかく刺激を与えながらに。
「や、…かん、だぁ…ぁ、ああぁああぁぁ」
口内で爆ぜる欲望の体液を受け止めると、引き抜きながら先を吸った。
意識を手放しては無いが、色付き荒く息をする体は動かせぬ様で。
快楽か悔しさか、涙を湛えた顔が、扇情的にこちらを見遣っていた。
こくり、と、呑み込んで見せてから、ゆっくりと哂ってみせる。
「お前だけ楽しんでんじゃねぇよ」
何かを言いかけ口を動かしたが、それは言葉には為らず、奴はそのまま気を失った。
さぁ、この負けず嫌いが次も堕ちてくれれば、まだまだ楽しめそうだ。
奴との最後迄をこの手に入れたい。
【アレン・ウォーカー。】
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