: 「あ、ども」 玲司はそういうと、広瀬の隣に腰を下ろした。 「烏龍茶な。裕之は、ビールでいいか?」 広瀬はそういって店員を呼び止めた。 周りを見渡せば、よく知らない奴が多いのに驚く。 それも、その筈。 玲司は遠野達の引退を期に、バスケットボールを辞めたからだ。 玲司一人、いつも年上のレギュラー陣に食い込んでいたんだから、そりゃ、同級の連中とも疎遠になるだろう。 「玲司、お前学校の先生なんだってなぁ?」 広瀬の隣から、柴田太一(シバタタイチ)がひょこっと顔を出した。 柴田も同じくFW。 少し気が短いが、攻撃力、即効力のあるスピードポイントゲッターだった。 やはり玲司の一つ上。 「保健医ですよ。先生ってほどのもんじゃ…」 玲司はそう言いながら煙草を咥えた。 「保健医が煙草かよ?いいのかぁ?」 「うるさいです」 玲司の隣に柴田が移動してくる。 屈託なく明るい人柄の柴田は、今は実家を継いで医者になった。 結局、今でもバスケットボールに関わっているのは沢村と広瀬だけ。 「相変わらず可愛くねーなぁ、玲司は」 「可愛くてたまるか」 「だよなぁ〜!?」 隣で笑う柴田に、玲司は仏頂面で煙草をふかした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |