♂ 「変なの」 大地が背中で笑う。 「知ってるよ。玲司は昔っから、俺には甘いんだ」 「そうかぁ?」 「そうやって、俺を甘やかすんだよ」 「んな事ねぇだろ?」 「あるよ。玲司はズルい」 「ズルいって…」 「てか、逃げないとヤッちゃうよ、玲司?」 大地の声が耳元に囁きかける。 「あはは、何だそれ?」 「また、茶化すの?」 笑う玲司を傍目に、大地の右手がするりとネクタイに触れた。 「…大、地?」 そして、左手がシャツの間へと滑り込む。 「……っ…」 大地の左手が胸の突起を直接触れた瞬間、玲司はビクッと反応してやっと危機感を覚えた。 「やめっ…!」 抗おうと振り向いた瞬間、 ガタッ…バンッ!! 「っ―――…!」 身体ごと棚に押し付けられて、背中に鈍い痛みが走った。 その文句を告げる間もなく、乱暴に唇を塞がれる。 「――…だ、っ…」 そうこうしてるうちに、大地の右手はシャツのボタンを外していく。 半ば引き裂くように荒く。 「んっ…―――」 制止の声は音にならず、キスが深く染み込んでいくだけ。 「――は…っ…」 大地の触り方は、それこそどこで覚えたのか、一瞬にして玲司の膝を緩ませた。 大地の長い足が、玲司の足の間を割って入る。 「――っ……ぁ…」 それに支えられるように立ちながら、玲司は大地のシャツをギュッと握り締めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |