[通常モード] [URL送信]
:


玲司は他所行きスマイルを浮かべてすっとソファを立ち上がった。


「玲司!?」


そんな玲司の態度に、大地は明らかにカチンと来た表情を見せる。

そんなわかりやすい性格で、よくバスケットボールなんて出来るもんだ。


「保健室に用事ですか?」

「……」


更に他所行きに笑う玲司に、大地は何も答えずに黙ったまま。

デカい身体で扉にへばりついている。


「……」


それでも玲司は冷たい態度で、大地を不機嫌に見据えている。

それはそれで白地。


「……」


まるで、飼い主に怒られた大型犬よろしく、大地はじっとそこを動かない。


「松田先生、私は生徒会に用があるから出ますよ」


見かねた古賀が、立ち上がって部屋の窓を閉めると、


「あ、はい。私ももう出ます」


玲司はハッとしたようにその空気を緩めた。


「コーヒー、ご馳走様でした」

「御粗末様でした」

「じゃあ、行きますか。藤井君」


優しい物腰とは逆に、仏頂面で立ち尽くす大地の腕をグイッと乱暴に引くと、


「お邪魔しました」


玲司は足早に化学準備室を後にした。


「いーえ………」


古賀はそんな玲司を『なるほどね』と小さく笑って見送った。














[*前へ][次へ#]

8/159ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!