生徒会室―― 「やっほ〜!ナッちゃ〜〜んっ!!」 生徒会室のドアを開けた瞬間、高寛はどっと疲れを感じて肩を落とした。 「荒井先輩……何なんですか!?一体!!」 「ん?何て、別になんも?」 ケロッとした軽々しい笑顔を浮かべたこの男こそ、高寛の頭痛の種――荒井渉(アライワタル)。 実はバレーボール界期待のエースアタッカーで、よく雑誌にも取り上げられるほどの有名人。 春高バレーの時なんかは、TVで特集を組まれたりしていた。 高校生にして全日本入り、その顔立ちはいわゆるイケメン。 身長は勿論見上げるほどに大きく、スポーツ選手なだけあって体格もいい。 高寛から見たら嫌味なほど恵まれた男。 世間じゃ、若きスーパーアスリートなんて騒がれちゃったりしてる訳だ。 そんな渉だからこそ、有ること無いこと噂が飛び交う。 基本的に校外に彼女が(沢山?)いて、ファンクラブなんかまであって――春高バレー後なんて、マスコミと女の子の黄色い声が校門を埋め尽くしていた。 そんな男の告白を真剣に信じろと言うほうが酷というもの。 「用がないなら来ないでください!生徒会室なんですよ!?ここは!!」 「せやから来とんのやないか〜?ナッちゃんに会うんやったら、ここが一番やろ?」 高寛のどぎつい口調もなんのその。 [*前へ][次へ#] [戻る] |