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その顔は少しだけ赤く染まって、それでも嫌ではないような…とにかく複雑な表情を浮かべていた。
「よく竜兄、いや、兄から、春日先輩のお噂はっ」
「綾一、何緊張してんだよ〜?」
「和兄っ!?」
一生懸命に言葉を探す綾一の肩を、和也が笑いながらポンポンとからかうように叩く。
「出来ねぇ敬語使ってんじゃねぇよ〜!」
「なっ、オレだって敬語くらいっ」
「オレ?」
「あ…僕だって…?」
途端に自信なさげにしどろもどろになる綾一を見て、
「あはは、いいよ、綾一くん。普通に」
望はクスクスと笑った。
「や、でもっ」
「望、お前の入学挨拶見て、ビビってたみたいだぜ?このチビ助」
「え、何で?」
「すっげぇ真面目な人に見えたらしい」
「へ…?」
和也の言葉に望はきょとんと目を丸くした。
入学挨拶と言えば、心ここにあらずで記憶すら危うい。
きっと、愛想笑いの一つも浮かべずに黙々と読んだんだろう。
「あー…それはごめんね」
望は急に申し訳ない気持ちになって、頭を掻いた。
今更だが、もう少し楽しくやるべきだったなんて反省。
会長である意識なんて、昨日今日で出来上がるもんじゃない。
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