: 「俺は詮索するつもりもない。ただ…よく考えろ、真柴」 「……」 「お前が馬鹿じゃないなら、これで済む訳がない事くらいわかるだろう」 「……」 「悪い事は言わない。本当に守りたいなら、コイツから手を引け」 「……」 二人の空気を目の前にして、真咲は何も言えなかった。 何故、悠が自分を避けていたのか――自分の存在が、悠に傷を負わせたことに間違いはないようだ。 そして、今目の前で下されようとしている残酷な答え。 何もかもが、真咲には寝耳に水。 訳がわからなかった。 ――手を引く…? 真咲はそれだけで、胸が潰れそうな喪失感を感じて膝が震えた。 ――んなの…今更…。 無言のまま睨み合う周と悠。 「………」 「………」 「………」 バタンッ…!! 悠は何の結論も告げないまま、静かに自室へと消えた。 「……何でだよ?」 真咲の茫然としたまま、そこに立ち尽くしていた。 「…まだガキだな」 周は冷静な声で溜め息をつくと、悠の消えた部屋を冷ややかに見つめた。 真咲は混乱したまま、そこを動くことすら出来なかった。 自分の知らないところで、誰かに影響を与えている。 今目の前にあるのは、真咲が考えたこともなかった事実。 「オレ……何なんだ?江崎?」 真咲は茫然と周を見上げた。 見上げた周は悲痛な目をしていた。 「真咲…お前はまだわかってない」 「…何?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |