: そして、真咲と目が合った瞬間に、望はボンッと赤くなって慌てて俯いた。 ――焦れってぇ〜っっ! つか、もう言えよっ!! YOU、やっちゃいなよ〜っ!! って、オレも他人事じゃねぇか…。 真咲はお茶を一口含むと、人知れず細く息を吐いた。 外は足早に陽が暮れ始めていた。 もう少しすれば、部活も終わる。 ――わかんなきゃ、聞くしかねぇでしょ! 真咲は古賀に鍵を頼むと、足早に生徒会室を後にした。 * * * * * * 201号室―― 真咲は一人、悠の帰りを待っていた。 「……」 静かな部屋の中がどうしても落ち着かない。 かといって、テレビをつけてみても、今の気分との温度差に疲れるだけで尚更落ち着かない。 時計の秒針だけが、虚しく先を急いで聞こえてきた。 何故だか、胸騒ぎがやまない。 「真柴…」 つい数日前に、ここで交した少しエッチなキス。 押し倒されて、あの長い綺麗な指先が身体に初めて触れた。 キスは唇から身体を辿り、見たこともない男の顔で艶やかに身体を滑り落ちた。 急すぎてテンパった結果として、激しく拒絶してしまった初体験。 悠がおかしくなったのはその後から。 でも、それがきっかけだとするなら…。 「やっぱ、あれか……?」 真咲はソファに倒れ込んで、溜め息をついた。 やっぱりあのまま身を任せるべきだったのか。 かといって、あれ以上どう受け止めたらよかったのか。 男だからわかるところと、男だからわかりたくないところと…。 例えば、もう一度やり直したとしても、また同じ結果になるような気がする。 でも、悠が望むのなら、 「別に…嫌じゃねぇし」 全く出来なくも、ない。 頭の中で押し問答を繰り返す。 と、 ガチャ… 「真柴っ!?」 ドアの開く音に、真咲はハッとして立ち上がった。 矢も盾もなく玄関へと走る。 [*前へ][次へ#] [戻る] |