::(真咲+藍)
大学部――
講義と講義の合間の空き時間。
「?」
携帯の着信を見て、
高野真咲(タカノマサキ)
はきょとんと目を丸くした。
まずかかってくることはないだろうが、一応登録してあった番号。
着信画面に出た名前は真柴藍(マシバアイ)――真咲の彼氏の兄にあたる人。
以前悠と一緒にロンドンの実家へ行った時に教えられた番号だ。
「――はい、高野です」
真咲はとにもかくにも通話ボタンを押して、携帯電話を耳に押し当てた。
『――もしもし、真咲くん?わかるかな、藍です』
「あ、はい。どうも」
『突然ごめんね』
「いえ、何かあったんすか?」
耳に聞こえた声はやはり兄弟なだけあって悠によく似た音で、真咲は少しだけ鼓動を感じた。
悠とよく似た音で、悠より柔らかく話す藍。
家族からの改まっての電話なせいもあって、どうしたってドキドキしてしまう。
『あ、あのね、悠の進路の事なんだけど』
「へ?」
『真咲くん、何か知らないかなって』
「え、何かって…」
だが、その話の内容に、真咲はまた目を真ん丸に見開いた。
進路の話なんて、真咲からしたらもうずっと悠と話し合って一緒に決めてきたことだから、
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