: 「それって、玲司が嫉妬したってことっすか!?」 思いっきり真顔で古賀を見つめた。 その顔には『信じられない』とデカデカと書いてあるのが読み取れた。 「だろ?」 「ですよ?」 古賀と望は顔を見合わせて、また呆れたように笑った。 「や、だって、玲司が嫉妬って……ぇえええ――っっ!?」 そんなに信じられないことなのか、大地は大きな身体でわたわたと玲司の去った方と、古賀・望とを見遣って改めてでっかい奇声を発した。 「藤井、お前」 「や、あり得ない!!天変地異だっ!!」 「藤井先輩、松田先生だって嫉妬くらいしますよ」 「いや、春日は普段の玲司を知らないから」 「普段?」 望はきょとんとして首を傾げた。 普段の玲司のイメージと言えば、確かに…。 「女王様?」 妖艶で負け知らず、いつもアンニュイな空気を纏って煙草をふかしているような。 確かに『嫉妬』からはかけ離れた存在に思える。 「女王様なんてモンじゃない、あれは暴君だ!!」 「あはは、暴君て…」 大地があまりに真顔で真剣に言うから何かと思えば。 古賀は堪らず吹き出した。 「あ、や…まぁ、俺が情けないだけか」 と、大地は急に肩を落とした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |