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言い寄る数は、男女問わず多かった筈。
適度に分別をわきまえた玲司なら、その場限りの付き合いにも上手く振る舞ってきた筈だ。
「ははっ!」
それが何故か無性におかしくて、古賀は笑ってしまった。
互いに恋愛経験を積んでおきながらも、今になって年端もいかない若僧にしてやられている。
「何がおかしいんですか?」
玲司があからさま不機嫌な表情で睨む。
「や、おかしいですよね」
古賀は笑いを噛み殺しながらも、玲司の肩を宥めるようにポンポンッと叩いた。
「あれですよ!今まで散々やらかしてきた酬いってヤツ!」
「っ…」
玲司はグッと息を詰めて、恨めしそうに古賀を睨み見た。
「失礼な」
「でも、そうじゃないですか?」
「……」
「散々振り回して来たんですから、少しくらい振り回されてみてもいいじゃないですか」
「……」
玲司は眉をしかめたまま。
だが、その顔は真っ赤に染まっている。
「あははっ!」
古賀はそれがおかしくて、また声を立てて笑った。
「〜〜っ…だから、笑わないで下さい!!」
「あははっ!や、失礼!」
「俺は、貴方ほど遊んでないですよっ!!」
「へぇ〜」
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