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「うわぁ、スッゴ〜い!」


コテージの中は天井の梁を剥き出しにした吹き抜けで、解放感と木の温もりに溢れ、大きな窓からは山の景色が一望できた。


「先生、外出てみてもいい?」

「おう」


子供のように目を輝かせてはしゃぐ望。

古賀が頷くなり、テラスへと続くガラス戸を開いた。


「気持ちいい〜!!」


テラスに出た望は、森林から降り注ぐ綺麗な空気の中で大きく深呼吸をした。

澄んだ空気が体内を洗うと、マイナスイオンなんて目に見えない存在にすら感謝したくなるから不思議だ。


「山っていいですよねぇ…落ち着く」


テラスの柵に手を置いて、望は嬉しそうに広がる景色を見つめて呟いた。


「ああ、望は山出身だったか?」

「そんな…山猿みたいな言い方しないでくださいよ」

「あはは!そりゃあ、悪かったな」


古賀がテラスのベンチにゆったりと腰を下ろす。


「望」


そして、隣に空いた空間をポンポンと叩いて望を呼ぶ。


「ぁ……」

「ほら」


時間の流れが穏やかだった。

他愛ない会話でさえ、互いの存在を近くに思わせる。


「…はい」


望は呼ばれるまま、静かに古賀の隣に腰を下ろした。




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あきゅろす。
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