: 「あ、悠!ナイキあるぜ!」 「あ、本当だ」 「オレ、新しいシューズ欲しかったんだよね!」 真咲が嬉しそうに笑う。 「んじゃ、行きますか?」 「イエッサー!」 真咲と悠は立ち上がると、目的地に向かって歩きだした。 * * * * * * その頃―― 「先生…?」 望はかなりテンパっていた。 古賀に連れてこられたのはカルティエ。 品の漂う綺麗な店内。 ショーケースの中に行儀よく並ぶ装飾品達。 「望、手出して」 「え!?…手?」 「逆、左」 「……」 望が素直に左手を出すと、古賀の手に優しく包み込まれた。 古賀がその左の薬指に静かに指輪を差し込む。 「…………」 望は胸の鼓動が押さえきれなかった。 心臓が口から飛び出しそうだ。 「大きいか…お前意外と、指細いのな?すいません――」 古賀は、お店の女性にもう1サイズ下を出して貰うように尋ねていた。 「……」 見渡せば、周りはカップルばかり。 「あ、これ可愛い!」 「どれ?」 「これがいい〜」 「しょ〜がねぇな〜」 「やったぁ!大好き〜!」 やたらめたらラブラブな空気に包まれている店内。 [*前へ][次へ#] [戻る] |