: 「真咲、あんまり望を苛めてくれるなよ?」 古賀が煙草に火を点けながら、車の窓を薄く開けた。 「あ〜、古賀の専売特許だもんな〜?」 「真咲先輩っ!?」 真咲の言葉にすかさず突っ込む望。 が、 「フッ…」 古賀は小さく鼻で笑って煙草の煙を吐いただけ。 ――えぇ〜っ!? 否定しないのっ!? 「古賀先生!」 狼狽える望。 「バ〜カ。言っただろ、望?古賀はSだって!」 「え…えっ!?」 「あははっ!」 成り行きを見守っていた悠が、望の慌てたリアクションを見て大爆笑した。 賑やかな時間を乗せた黒いセルシオは、夏の高速道路を走り抜けていく。 夏の空は、どこまでも澄んで青く広がっていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |