: 「――と言うことで、結論を言うと、異常は無し。脳波も正常です」 訳の分からないカルテをぼんやりと見ながら、真咲はホッと息を吐いた。 難しいことはよくわからないが、とりあえず悠は大丈夫らしい。 「良かったな」 古賀が安心したように真咲の背中を優しく叩いた。 まるで本当の兄のようだ。 「大量の出血は、額の外傷が深かったせいですね。もしかしたら、傷が残るかもしれませんが」 「…はい」 「後は意識が戻り次第…また様子を見ましょう。おそらく、数日で退院できると思いますよ」 迷子の子供のように戸惑った表情を浮かべている真咲に、遠野が安心させるような穏やかな声で笑った。 真咲は安堵からか、少しだけ疲れた顔で頷いた。 古賀から電話を受けてから、この数時間でどっと神経を刷り減らしたような気がした。 自分の中の悠の存在の重さが身に染みる。 ガラッ…! 「高野!真柴の意識戻ったぞ!」 その時、玲司が息を切らせて現れた。 「え、マジでっ!?」 真咲は弾かれたように立ち上がった。 「良かった」 「じゃ、参りますか」 古賀と遠野も、それに遅れて安心したように立ち上がった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |