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「あのっ…高野さん、すみません…オレっ」


比呂が神妙な顔で再び頭を下げる。

小さな身体を更に小さく折り曲げて、今にも消えてしまいそうだ。


「あ、や……なんつーか……オレに謝られても、さ」


真咲は困ったように頭を掻いた。


「…そうですよね」


何を勘違いしたのか、比呂はまたしゅんとして俯いた。


「あ、そーじゃなくてっ」


落ち込みが激しくなる比呂の肩を掴むと、真咲は慌てて言葉を繋いだ。


「あんたを庇ったのは、コイツが勝手にやったことだから、あんたが気に病むことじゃねーって!」

「でもっ…」

「だから、オレに謝んねぇで、謝るならコイツに直接言えってこと!わかる!?」

「あ……はい」


比呂は茫然と真咲を見つめていた。


「えと……草薙くん、だっけ?」

「あ…はい」


こんな大事になってしまって、一番焦っているのは他でもない比呂だろう。

それくらいは真咲にもわかる。


「あんたは平気?」

「え…」

「あんたも陸上選手だろ?」

「……」


穏やかに問掛ける真咲を見て、比呂は何とも言えない目を僅かに伏せた。


「どこでどうなるかなんてわかんねぇんだから、気を付けろよな?」




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あきゅろす。
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