ガラッ――!! 「真咲!」 「古賀、悠はっ…」 「まだ眠ってる」 真咲が病室の扉を開くと、古賀が弾かれたように立ち上がり、真咲の肩を包み込むように優しく撫でた。 「…悠」 頭に包帯を巻いた悠がベッドに眠っていた。 「あ…あのっ…!」 その傍らに座っていた少年が、真咲を見るなりバッと泣きそうな顔をして立ち上がった。 「ああ…ども」 今の悠の同室、1年生の草薙比呂(クサナギヒロ)だった。 真咲と同じく小柄な体格で、少し生意気そうなクリッとした大きな瞳――まだあどけない表情の1年生らしい少年。 「すいませんっ!!オレのせいでっ」 比呂が真咲に向かって深く頭を下げる。 「……あー…えっと…」 いきなりの謝罪に、真咲は目を丸くして比呂を凝視した。 全く話が見えない。 「真咲、真柴は草薙を庇って階段から落ちたそうだ」 「はっ!?」 「中央階段。かなり派手にいったらしい…出血が酷くて俺も慌てた――」 真咲の心臓が騒つく。 「階段って……足っ!!」 「え…?」 「足、ついてるかっ!?」 「は?」 とっさにそう言って、真咲は眠る悠の足許を捲った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |