: 「そういや、真咲。今日からお前の同室になる奴、もう会ったか?」 ふと、思い出したように古賀が問掛けた。 「んにゃ、まだ」 「…そうか」 そして、何か難しそうに言葉を選んでいる。 「…なに?なんか訳あり?」 「うーん」 「まぁ、今の時期に編入っちゃ、何もなくねぇわな?」 「まぁな」 「なんだよっ!?別にイジメねぇって!」 やはり歯切れが悪い古賀の腹に、真咲が軽くジャブを繰り出す。 「や、俺は会ったけど…意外とまともなんだよな」 「んじゃ、いーじゃん」 真咲のジャブを軽く片手でガードしながら、古賀は難しげに口を開いた。 「編入試験は余裕過ぎる点数だし、本人は至って真面目だ。ただ、…前校で暴力沙汰起こしてんだよな」 「暴力沙汰?」 ふと、真咲の手が止まった。 「や、でも、ケンカくらいさ…」 「いや、ただの喧嘩にしちゃ、度が過ぎたらしい」 古賀にしては珍しく深刻だ。 「…ど?」 「三人、病院送り」 古賀が三本指を立ててニヤリと笑った。 笑い事じゃないだろうに。 「…なんてヤツ?」 「真柴悠、2年だ」 「真柴悠ね。んな悪そーなワケ?」 「や、だから、腑に落ちなくてな」 「は?何?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |