「部外者、かぁ…」 高寛は一人、溜め息をついた。 自分でそう思っていても、実際にそう言われるとちょっと凹む。 しかも、他の人ならまだしも、渉に…だ。 「なんだよ!渉先輩のバカっ」 吐き出したところで、胸は疼くばかり。 それに…。 『ジブン、渉のオンナやろ?』 さっきからあの言葉が耳について離れない。 今までの自分の裏表を、一瞬にして丸裸にされたような気がした。 「女だったら、よかったのに…」 だったら、もっと世の中自由に渡っていけた。 きっと、この見た目ももっと武器になった。 そう考えたことが何度もあった。 それでも、女ではない自分。 心も身体も、女ではないからこそ、それは女性に対して失礼な、身勝手な思考に過ぎないこともわかっている。 また、コンプレックスが背中を叩く。 「仕事、仕事!」 高寛は両手で自分の頬をパンパンと叩くと、気分を取り直して雑用に向かった。 9校分の部屋割りやら、食事やら、午後からの合同練習やら――とにかく、やるべきことは山のようにあった。 「――では、じきにお昼ですので、それまではごゆっくりなさってください」 「はい。ありがとうございました」 「失礼します」 [*前へ][次へ#] [戻る] |