: 「何で隠すねん?余計気になるやんか!なぁなぁ、君もバレーやんの?」 「や、あのっ」 「アホ!コイツは部外者やっ!!」 「……」 その言葉に、高寛の胸はズキンッと鈍く痛んだ。 ――部外者…。 高寛は小さく唇を噛んで俯いた。 「その子は、ちゃうてゆーてるで?」 隼人の声が近寄ってくるのがわかって、高寛は益々俯いてグッと息を潜めた。 違うと告げたくても、違いない――バレーボール素人な高寛。 この合宿の為に、望から借りたルールブックに受験生の如くふせんをつけて勉強したくらい。 何でここにいるのか…なんて、自分でも感じられる違和感。 それは馬鹿にデカい輩に囲まれれば、図らずとも実感できる。 と、 「なぁ、ジブン、渉のオンナやろ?」 「っ!?」 すぐ耳元で囁かれて、高寛の全身が一瞬にしてざわっと大きく波打った。 「あかん!高寛っ!!」 瞬間、渉の声が鋭く響いた。 「――…ぁ…」 高寛が顔を上げると、渉の大きな手がしっかりと高寛の手首を掴んでいた。 「……」 「……」 掴まれた高寛の手の平は、なんと、隼人の頬の少し手前で寸止めされるかのように握られていた。 「……」 隼人は、身動きもせずにそこに立っていた。 まるで殴られるのを待っていたかのように、余裕の笑みさえ浮かべて。 [*前へ][次へ#] [戻る] |