[通常モード] [URL送信]
:


そんな渉が、春の高校バレーでとんでもない大活躍を見せてから、校内は一段と騒がしくなった。

マスコミや新聞記者、それにここでは珍しい他校の女子生徒達が、わんさか群れを成して押し寄せるようになった。

そんな有名人の渉は、あろうことか、高寛を『好きだ』と屈託なく笑う。

底抜けに明るい関西弁で、真面目に『愛してる』と口にする。

高寛自身、最近やっとそれに心を開きかけた矢先。


「――でも、夏休みだもんね…やっぱり、忙しいかな?」


望がしょんぼりとした哀しげな瞳で、高寛の目を覗き込む。

怒られたワンコのように、耳が垂れ下がるのが見える。


「別に、そんなことはっ…あ、大丈夫!暇ですからっ!いいですよ」


その不安そうな望の目を見た途端、高寛はつい慌ててそう口走ってしまった。


「ホントにっ!?」


望の顔がパアッと明るく輝く。

それはもう嬉しそうに。


『あ…』と思っても、


「あ、はい」


もうその笑顔には、何も言えない高寛だった。


「ありがと〜!高寛」


望は嬉しそうに満面の笑みを浮かべて、高寛をギュッと抱き締めた。



――この人は…。

カワイイなぁ、ホント。



そんなことを心の中で呟きながら、高寛はにっこりと微笑み返した。




[*前へ][次へ#]

4/150ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!