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朝から刺激が強い。
「ふざけてばっかりっ…」
望はボヤきながら、シンクのマグカップを洗い始めた。
竜樹がああやって心配してくれているんだということは、よくわかっていた。
かといって、竜樹にはとても言えない。
「……」
望は昨夜の夢を思い出して、一人カアッと赤くなった。
初めてのことじゃない。
もう何度かあの夢で目が覚めた。
その度に押し寄せる罪悪感。
「目、赤いかな…?」
望はふと、姿見鏡を覗き込んだ。
案の定。
目は真っ赤で、少し腫れぼったい。
「うわぁ……最悪だ」
また、思い出したように目頭が熱くなってしまう。
溜め息をつきながら鏡に写る自分の顔を凝視する。
そこには、どうしようもなく情けない顔の自分がいた。
思い出すだけで身体中が心臓に変わる。
熱くて仕方がない身体が、涙を誘発する。
情けなくて、恥ずかしくて、申し訳なくて…気持ちのやり場に困る。
「…苦労してないって」
昨日の古賀の言葉を思い出す。
古賀は、こんな朝を迎えたことはないんだろうか。
――どうして…?
古賀は望を抱かない。
付き合い始めて二ヶ月。
そうなる可能性なら今までいくらでもあったというのに。
その仕草や瞳は、変わらずに望の胸をドキドキさせる。
が、それはまるで、子供のままごとのようで…。
――オレが、子供だから?
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