: 「そうですよ。葉ちゃんにとって、まこ先輩に勝るものなんてないんですから」 と笑う、望と高寛の言葉に、 「まぁな〜」 と、和也は小さく肩を竦めて同じく笑った。 * * * * * * 「まこ先輩、顔拭きますよ?」 葉介はハンカチを濡らすと、まことの顔を少しずつ丁寧に拭いてやった。 「まこ先輩、俺、いつも言ってるじゃないですか?和先輩に遊ばれないように気をつけて下さいって」 ぐずぐずと泣いていたまことも、葉介の手に安心したのかもう泣き止んでいた。 「だってぇ〜…」 ぷくりと膨れっ面で拗ねるまことを見て、葉介はふわりと優しく笑みを零した。 何かあると直ぐに、葉介の元へ飛んでくるまこと。 可愛くて仕方がない。 元々、怖い見た目に似合わず、可愛いものに目がない葉介。 生徒会室で初めてまことを見た瞬間に恋に落ちた。 まさしく一目惚れだ。 「まこ先輩、シャツ、脱いで下さい。洗わないと…」 「うん」 葉介の言葉に素直に頷くまこと。 躊躇なくネクタイを解くと、小さな手でシャツのボタンを外していく。 「…………」 何故か、ひどく『イケナイコト』をしているような気がしてしまい、葉介はその視線をふらっと泳がせた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |