「はぁ〜…」
生徒会室の隅、パイプ椅子の背に凭れかかって、葉介は広い肩をガクンッと落とした。
「何?葉ちゃん、悩み事?」
近場にいた副会長の捺木高寛(ナツキタカヒロ)が、さして心配でもなさそうに首傾げた。
「ん――…」
さっぱり上の空な葉介。
心ここにあらず。
「どうしたの?」
それを見た会長の春日望(カスガノゾム)が、資料の束を抱えてきょとんと高寛に尋ねた。
「なーんか、今朝からずっとこんなんで…」
「ふーん、珍しいね」
「まこちゃん先輩と何かあったんじゃないですか?」
「何かって?」
「さぁ、何でしょう…?ふぬけちゃうような、楽しいこと?」
「楽しいことかぁ!何だろ…?」
「ねぇ、何だろな〜、葉ちゃ〜ん?」
高寛がニヤニヤと楽しげに笑うのを、葉介は一瞬ピクッとして横目で見た。
というより、まことの名に反応した。
「あれ、当たり?」
望が少しだけ含み笑いをして葉介の顔を覗き込む。
「な、何もないですよ!何言ってるんですか!」
葉介は慌ててバタバタと手を振って否定した。
「でも、何かあってほしいんでしょ?葉ちゃん?」
凡そ、その体格と見た目に似合わない慌てたリアクションに、高寛が楽しさを増した笑みで上目使いに問掛ける。
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