季節は初夏。 春をくぐりぬけて、そろそろブレザーも飾りものになる今日この頃。 「新ぁぁ――っ!!てめぇっっ!!」 寝起きにまず、怒鳴り声を一発。 朝っぱらから血圧は最高潮だ。 葉介は同室の澤口新(サワグチアラタ)に怒りをぶつけたが、 「あはは!朝っぱらから元気だなぁ、葉介?」 当の本人は大爆笑。 悪気などこれっぽっちもない。 高塚葉介は、長身で整った精悍な顔立ち。 本人はボーッとしているつもりでも、一見すると怖く見られてしまうキャラクター。 単純に言うなら、無愛想。 だが、これが意外とシャイで面白い性格だったり(笑) 「ふざけんなよっ!!」 「まぁたまたぁ〜、嬉しいクセにぃ!」 何故こんなに彼が怒っているのか…。 それは、先程のまこ先輩――つまり、菊池まことが枕元にいたことが原因…? 「葉ちゃん、ボク、来ちゃダメだった…?」 「ぇ゙……」 そのまことにウルウルのでっかい瞳で尋ねられて、 「いや、そんな事ありませんよ。嬉しいです」 葉介はつい、いつもの微笑みを返した。 「よかったぁ」 まことが安心したようににっこりと口許を緩める。 ――カワイイっ…! 朝っぱらから癒しの光が全身に降り注ぐ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |