: そう感じてしまう自分に、また納得がいかない。 ――何だよ…? 真咲は急に虚しさを覚えて、ぼんやりとドアに凭れかかった。 「あ、こんな時間だ!ナツが学食で待ってるんだ。あ、悠も一緒に行かない?」 「や、俺はここの寝坊助を起こしてから行くよ」 「…そう?」 「悪いな」 「ううん…じゃあ、行くね」 「ああ」 真咲はドアを背に張り付いたまま、卓の足音が遠ざかって出ていくのを息を潜めて聞いていた。 ――つか、なんでオレが遠慮してんだよ!? おかしくね!? ここは真咲の部屋でもある。 確かに遠慮する意味は全くないが、なんとなく息を潜めてしまった。 と、 「………6年、か…」 息を殺していた真咲の耳に、独り言のような悠の呟きが静かに聞こえてきた。 その声が、あまりにも孤独に聞こえて、真咲は胸が苦しくなった。 いつも寡黙に悠然としている年下の恋人。 真咲の迷いやわだかまりを吹き飛ばし、その上で包み込む。 そんなの簡単に出来ることじゃない。 守られることに慣れない真咲はつい、その手を跳ね返す言動ばかりに逃げてしまう。 考えるほどに謎だ。 何故、悠が選んだのが真咲だったのか…。 と、 「ガッ!?…やっべ!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |